投稿者: 紅狐

きつねです

MINDHACK:あるグラフィックデザイナーの仕事

【あるグラフィックデザイナーのもとに、一通の依頼メールが届いた】

 

 

はじめまして。インターネットにUPされていたあなたのグラフィックデザインを拝見しご連絡しました。
今回、世のため人のためにぜひデザインをお願いしたいものがあるのですが、お願いできますでしょうか? もちろんお礼はお支払いいたします。よろしくお願いいたします。

 

まず、真っ黒な夜の闇の中に、つまらない感じで雪が降っている画像をお願いします。

 

そして、人々にメッセージを伝えるため、雪景色の画像に、文字を入れてください。
これは、闇と雪の中に閉ざされた人々を照らして啓蒙し輝くメッセージなので、白で書いてください。

 

混じり気のない塗料のような白ですね! 気に入りました!
これは神のメッセージなので、有機の子らにも親しみやすいフォントにしてください。

 

すみません、神のメッセージなので、やっぱりもっと荘厳でかっこいい感じにしてください。

 

 

神の荘厳さが出ていてすごくかっこいいです! できればもう少し無機っぽくできますか?

 

美しい! 神もこのような無機を望まれます!

 

 

今、すごくいい感じなのですが、できればもう少し人々に救いを伝えたいです。

 

ちょっと考えていたのですが、神の教えをより広めるためには、よりグローバルな展開を考える必要があると思います。

 

それから、今のこの文言は経典に書かれた信者のための教えです。まだ無機から遠い人たちのために、もっと金槌で釘を打たれるような衝撃、かつ、救いを身近に感じられるエピソードが必要かもしれないと思いました。

 

あと、今は文字だけなのですが、家具の画像があったらよりLAGOM神の偉大さがダイレクトに伝わって、いいと思いました。

 

今、メールで追加の素材を送ったので、これも使ってもらえますか? そして、都会っぽくてかっこいい感じにしてください。

 

添付ファイル:
Kakkoii_sozai.zip

 

 

 

 

 

いいですね! すごくいいと思います! この方向性でもう数パターン見せてもらえますか?

 

あと、もっと縦に大きいサイズにしてほしくて……

 

さらにかっこよくしたいので、文字は赤くしてほしくて…… 

 

全体的に、よりオシャレで洗練された感じに……

 

それからああして……こうして……

 

…………

 

 

 

 

 

~半月後~

 

 

 

いいですね!! すごくオシャレさがあって、いいと思います!

 

これで完成にしてください。ありがとうございました。
この画像は祈りの会で着るTシャツにします。

 

 

 

 

通販 ∞ SUZURI(スズリ)

 

 

なんか、無事シャツになったみたいです。よかったですね。

MINDHACK:第4章ミニアップデート・ヒント集

2024年3月15日、MINDHACK第4章のミニアップデートが行われました!
ゲーム本体をすでにお持ちのかたにはお楽しみいただけているでしょうか?
Steamではただいま春のセールも実施中。この機会にぜひMINDHACKをよろしくお願いいたします!

 

 

また、サウンドトラックにも第4章で聞ける3つの楽曲が追加されています。これらの楽曲についても、後日ブログでご紹介していく予定です!

 


 

 

さて、以前COM_Zが自分で紹介してくれた通り、今回のミニアップデートでは4章のミニゲームに隠し要素が追加されています。

 

このこれ。ここに特別なキーワードを入力すると、隠し反応が見られるよ。

キーワードは英語か、日本語ローマ字の単語または言葉となっています。アルファベットで入力してくださいね。

 

とは言っても「特別なキーワード」って一体何なの? そこで本日は50個ある隠しキーワードのうち、いくつかのヒントをご紹介いたします。

 

 

※キーワードのネタバレ記事となります。自力で見つけたいかたはご注意ください!

なお、今回のミニアップデート前から存在する3つと、ストーリー進行上必須のキーワードは、「50個」のうちに含まれておりません。

 

 

 

挨拶してみよう

 

誰かと仲良くなるためには、まずは元気な挨拶から。COM_Zは高性能ロボットなので、おはようからおやすみまで幅広い時間帯のご挨拶に対応しています。

 

 

知ってる人の名前を聞いてみよう

COM_Zはマインドハッカーと関わりの深いロボット。天才マインドハッカーとして、身の回りで付き合いのある人たちの名前を挙げてみましょう。これまでハックしてきた更生対象のことにも興味があるかもしれませんね。

 

 

COM_Zの思い出を聞いてみよう

マインドハック施設で出会う前、COM_Z自身にも誰かと付き合いがあったみたいです。印象的な出来事やキーワードを入力すると、思い出を教えてくれるかも。

 

 

第一印象を言ってみよう

COM_Zはみんなのアイドルを目指しています。人間から見た印象を素直に教えてあげましょう。褒めてもいいし、怖がったりしてもいい。

 

 

いい子ちゃんじゃないキミにも

「心を持った機械」であるCOM_Z。つらい気持ちや、厳しい言葉もしっかり受け止めてくれます。
天才マインドハッカーにあるまじき、ちょっとやんちゃな言葉で煽ってみたり……

子供っぽいキタナイ言葉を言うと、怒られることも。

 

 

 

秘密のメッセージ

あのアレは、「.」なしで打ち込んでみてね。

 


 

今回のアップデートで追加されるのは、あくまでも「イースターエッグ(隠し要素)」。
これを全部見つけたから物語の結末が変わる! というようなことはありません。ゲーム本編の展開には影響しないけれど、よりCOM_Zに対する理解を深めることができます。ぜひぜひいろんなキーワードを試してみてくださいね!

MINDHACK:プログラマー紹介2024

ゲーム開発にバグはつきものである。MINDHACKもゲームなので、もちろんバグとの戦いはある。
人間の精神に潜むバグをハッキングしてお花に変えよう、というのが本作の根幹となる部分ですが、『MINDHACK』を作っている私たちには、残念ながらバグをお花に変えるパワーは授けられていないのだった。

なので、開発中はよくよくバグに遭遇します。
こういうのとか。

 

手ぇ増えてる! なんで~~!?

 

そもそも「バグ」とは何なのか?
実は、バグとは急にどこかから湧いて出てくるものではありません。多くの場合、バグは機械と人間との意思疎通がうまくいってない場合に発生します。
(※ここで話しているのは作中の「人格のエラー」ではなく、文字通りのプログラムのバグのことです)

例えば上の例では、人間側は「選択肢にマウスカーソルが乗ったら先生の手を表示する」という命令を出しています。機械(Unity)側は、言われたその通りにやってるだけなんである。
この場合の問題は、人間が「選択肢の片方にマウスカーソルが乗ってるときは、もう片方の手は出さない」という説明をし忘れたことにあります。つまり、人間のうっかりです。

上の例では齟齬が見た目にわかりやすいけれども…… 別の例もご紹介いたします。

 

こちらはアーリーアクセス版公開前に録画したプレイ画面です。
このスクリーンショットにはバグが1つあります。
さあ、一体どの部分でしょうか!

正解は…………

タイピングの単語を1つ入れ忘れている!!

おい!!
完全に開発者のうっかりミスです。具体的には「四人目」と「速達」の間に「梱包」を入れ忘れました。だがどんなに紅狐がうっかりしていてもUnityくんは言われた通り、登録されたそのまんまその通りに表示するだけなのだ。

これは開発超・超・初期のころのタイピングゲーム部分の中身。
スクリプトにタイピングの設問を直書きしているため、日本語と英語の文言があっているかどうか画面の上下を行ったり来たりしながら見比べる必要があります。こ、これは見づらい。
どこか一か所抜けていてもぱっと見ではわかりません。

さらに対応する言語が増えると、プログラムに登録するタイピング設問の数は言語ごとに倍倍に必要になる。これはつまり、人間のうっかりチャンスも倍倍になっているということ。

人間は人間である限り、必ずミスをする。うっかりをしない人などいません。
そう、バグからゲームを守るためには、ただコードを書いて動きゃいいわけではないのである。
長い期間・複数人数でプロジェクト開発を進めていくためには、そもそも人間がなるべくうっかりしない設計をしないといけないのだ。これにはもちろん知識と技術が必要です。

あーあ、タイピングの文言、イイ感じに管理したいよなー!
これエクセルシートとかで一括管理できたら便利かもしれないなー! いっぺんに見えるよう一覧化して、そのシート丸ごと読み込むだけでいけるみたいなさー!!
あー、そしたら確認も楽だしうっかりミスだって起きづらいからすごくいいなー!
そんな日が来たらいいなー! 2021年の半ば頃、「でもやり方わかんないなー! あーあ!」と空を仰いで夢見ていた。

そして2023年。

えっ! できてる!?
なんて便利なんだ!!
すごい!! どうやって!?
誰が!?

南部休みさんがやってくれました!!

 

【プログラマー紹介】

というわけで、本日はMINDHACK技術班の頼れるプログラマー、南部休みさんのご紹介です。

第4章リリースまでの道のりには、かなり困る(がここで紹介するには絵面として地味すぎる)バグだっていくつもあった。特定のボタンを特定のタイミングで連打すると何故かフリーズする……とか。
水面下で紅狐が「これどうしたら直るんだ~」と頭を抱えていたバグや根本的不具合も、南部休みさんの手によって大きく改善されたのでした。
先生の右手増殖バグも実は長い間しつこく残っていたのですが、機能改善アップデートの際にばっちり直して頂きました。バグ修正だけでなく、機能改善もたくさん!

~南部休みさんの主な功績一覧~

ゲーム起動時に出るこれ。スプラッシュスクリーンといいます。かつては日本語と英語を同時に出していたのを、スマートに直していただきました。言語を切り替えているプレイヤーに合わせて、それぞれの言葉で表示されます。

そのほかにも、例えば……

EXTRA画面でタイピングのスコアアタックしてる時、即時リトライ機能があったらなー!

→で、できてるー!

EXTRA画面のタイピング中、好きな曲かけられたらいいのになー!

→かかってるー!!

ゲーム中のテキスト、CTRLキーを長押ししたらスキップできたらいいのになー!

→スキップできるー!!!!

 

現在遊べるMINDHACKの細かい機能改善の陰には、南部休みさんの活躍がありました。いつも本当にありがとうございます。以下、ご本人からコメントをいただきました。


 

【自己紹介】
縁あって2023年春頃からプログラマーとして参加しております、南部休みです。
もろもろ作るのが好きで、クトゥルフ神話TRPG関連の同人活動やノベルゲーム制作、イラストレーターなどやってきました。
現在は個人でシミュレーションRPGの開発をしています。

 

【MINDHACKについてひとこと】
ユーニッドが丸くなるシーンから始まるあのPVをゲームメディアで目にする機会があり、
注目を集めるゲームはセンスがあるなぁ~と思ったことを覚えています。
その後自分も開発をお手伝いすることとなり、ああ、あのゲーム!と驚いたものです。

とっつきやすいキャッチコピーや設定もさることながら、
「悪人像」を多面的に映しだし、
歪みを感じる世界観に現実世界との接点を浮かび上がらせる物語が秀逸だなと個人的には感じています。
個人的にはここが推しポイントなのでプレイヤーの方々には同じエピソードを何回か遊んでみてほしいです…!

VODKAdemo?さんのこだわりや情熱を感じながら仕事ができる幸せを噛み締めつつ、
微力ながら貢献できるようこれからもがんばります!

 

【SNSのアカウント・Webサイト等】
X(Twitter)
https://twitter.com/nanbu32
Instagram
https://www.instagram.com/nanbrest/
【Indomitable Blade】Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/2679040/Indomitable_Blade/


 

※Picture by NanbuWorks

南部休みさんは個人創作サークル「Nanbu Works」にて、自身の作品「Indomitable Blade」も開発中。このブログの公開当日(1/20土曜,1/21日曜の二日間開催)、浜松町で行われている「東京ゲームダンジョン4」というイベントにも出展されています。
美麗なアートワークや、過去作からして重厚に違いないシナリオ面も個人で担当されている期待作です。プログラマーとしてただでさえこんなに優秀なかたなのに、多才!! 厚塗りの鎧甲冑と銀髪の強い美人が大好きな紅狐、キービジュアルに一目惚れしてしまいました。
シミュレーションRPGファンのかたはぜひぜひ要チェック! Steamのウィッシュリストに登録だ!

 

実はMINDHACKに助力いただいているプログラマーのみなさん、スゴイ人材揃いです。
過去にご紹介したプログラマーのお二人、『イノウノカルテ』undoさん『灯りの王子と陰りの塔』みこさんのプロフィールも、これを機にぜひご覧くださいね!

第5章の開発においても、技術班のバグとの戦いは続きます。
プログラマーの皆さんのお力を借りつつ、ゲームの機能面についてもますますパワーアップしていきたい所存です!

MINDHACK:2023年の歩みを振り返る

全世界全国10000000億人のMINDHACKファンの皆様、あるいは潜在的MINDHACKファンの皆様、こんにちはこんばんは。
2023年も残すところわずかとなりましたが、いかがおすごしでしょうか? VODKAdemo?はホリデーシーズンに『サメマゲドン〜解き放たれた融合ザメ〜』で最強のサメを生み出したりなんだりしました。

今年はとうとう皆様に本編をアーリーアクセスという形でお届けするという第一歩を踏み出し、大きな目標を果たした一年となりました。第4章アップデートにもご好評を頂いて感謝の気持ちでいっぱいになりつつ、次章の開発を粛々と進めております。

それにしたって今年もいろんなことがたくさんありました!! せっかくの機会なので、この一年の歩みを振り返ってみようと思います。

 

〜2023年の歩み〜

 

2月:

-台北ゲームショウに出展  旅行記1 旅行記2  旅行記3
-韓国のインディーゲームイベント『Independent Game Developers Guild Festival』に出展
-Steam Next Fest参加

なんと春のしょっぱなからいきなり海外2連チャン。ホでヴとササンとシノin the フロッピーがアジアの海を股にかけ飛び回ってくれました。
この時に海外のファンの方からも熱い応援やフィードバックをいただいたのが、12月の簡体字・繁体字・韓国語対応に繋がりました。開発チームにとっても、とても良い経験になりました!

一方その頃日本に残った紅狐はSteam Next Festに合わせて体験版をアップデートしていた。プログラマーさんの助力によって日本語ローマ字入力が大幅改善され、最初期からの念願を果たしました。

 

 

4月:

-アーリーアクセス版配信開始
-ヨカゼナイト2023放送

4月6日、ついにゲーム本編を皆様にお届けすることができました。
第1章(体験版)の続きのお話をようやくプレイヤーの皆さんに遊んでいただけることとなり、開発チームとしても大きな記念の1日でした。全宇宙MINDHACK史に刻まれたこの日は子々孫々の時代まで長く語り継がれることになるであろう。
当日はインディーゲームレーベル『ヨカゼ』主催のゲーム紹介番組『ヨカゼナイト』も配信され、この日はMINDHACKの『ヨカゼ』入りもお披露目となりました。

 

7月:

-BitSummit ヨカゼブースに出展
-MINDHACK電話相談への質問が1400件近く届けられる

京都で行われるインディーゲームの祭典『BitSummit X-roads』では、ヨカゼのブースにMINDHACKを展示していただきました。
時期を合わせてHOTEL・ANTEROOM KYOTOさんで行われた展覧会「art bit」展でも、ロビーのPCで体験版を遊んでいただけるようになっておりました。(※現在は会期は終了しています)

そしてこの夏は、なんといってもMINDHACK電話相談! 去年ご好評いただいたアレを今年もやりますよ、と皆様からMINDHACKにまつわる質問を募集したところ……
最終的に集まったのは……1425件!! せ、せんよんひゃく!?!? これにはコムちとシノちゃんもビックリ。本当にありがとうございます!
あまりのボリュームに全ての質問にはお答えすることは叶わなかったものの、MINDHACK電話相談は前回よりさらにいろいろな部分がパワーアップして帰ってまいりました。
第4章を遊んでいただいた後には「あ、コレ……!」とハッとさせられる回答もあるかもしれません。ゲームをプレイ後の方はぜひまた見返してみてくださいね!

 

そして、突然始まった謎のB級映画上映会『ブラックサンシャイン・オブ・ザ・デッド』もありました。そのほかにもMINDHACKの世界観を掘り下げるコンテンツ盛りだくさんのアツい夏であった。


ブラックサンシャイン・オブ・ザ・デッド 前編 後編

 

9月:

-COMITIA145へ出展
-東京ゲームショウ2023 ヨカゼブースに出展

さらに……9月頭には、COMITIA145へ出展! COM_Zとシノのある日の一幕を描いたオフィシャル同人誌『NOETIC ZOETIC』が登場。これまでゲーム展示イベントには何度か出展してきたMINDHACKですが、一次創作を扱う同人即売会イベントへの参加は初めてでした。

VODKAdemo?の予想を遥かに上回るご好評を頂き、なんと当日持ち込んだ頒布物はほぼ全て売り切れる事態に。お越しくださった皆様、本当にありがとうございました!

『NOETIC ZOETIC』は物理冊子での販売は完了していますが、電子版での頒布を行っています。

https://kouontashitsu.booth.pm/

また、COMITIAで頒布したお花のピンバッジ、シャカシャカアクリルキーホルダーも再販の準備がいよいよ整いましたので、近日中の続報をお待ちいただければ幸いです。

9月中旬には幕張メッセで行われた東京ゲームショウにも出展。4年ぶりにフルサイズで行われた日本最大のゲームイベント、かつイベントの出展者数は過去最大! 多くの方の目に留まる機会となりました。

 

 

10月:

-すきまトークに英語字幕を実装(34話まで)
-すきまトーク、40話を越える

4章と追加言語へのローカライズのリリースに先駆けて、毎月末にお届けしているおもしろ会話劇『すきまトーク』に英語字幕がつきました。本編のローカライズを担当してくださっている岩﨑さんによる英訳です。英語圏の皆さんにも楽しんでいただけていると嬉しいです!

今年最後となる42話もちょうど本日公開されています。描き下ろし素材(なぜか)たっぷりのウィンター仕様をお楽しみください。そう、俺たちはホリデーシーズンが大好き。

 

 

12月:

-12月2日、第4章アップデート配信開始
-Indie Live Expo 2023 Winter放送

そして記憶に新しい、第4章アップデートの配信です。簡体字・繁体字・韓国語、さらにMacにも新たに対応し、より多くの方々にMINDHACKを遊んでいただけるようになりました。

デジタルコンテンツ特有のテンションアガるアレ……つまり「この後すぐ配信!」を行うために、開発用PCの前でボタンを構えて待機していたのが昨日のことのように思えます。

~これはSteamでゲームを公開する開発者まめちしき~
Steamでアプリケーションを公開する時、今年からSMSによる二段階認証が必要になりました。「この後すぐ!」をやる際は何卒お気をつけください。
ILEの放送を見守りながら「あ! CM流れたよ!!」「よし!! 配信いくぞ!!」とロボットの発進ボタンを押す気持ちでリリースのボタンを押した時、見覚えない二段階認証確認画面が出て一瞬頭が真っ白になったが、逆にめちゃ冷静になった。
ロボットことCOM_Z博士も無事発進しました。

4月のEA開始までも同様でしたが、アップデートの際は「配信開始までいろんなことをヒミツにしておきたいキャラクター」たちが何人もいました。
いよいよ君たちの行く末もプレイヤーの皆さんの知るところとなるんだな……!! と、大変に感慨深かったです。秘密にヒミツを重ねて隠し通せたなあとほっとしておりますが、いかがだったでしょうか。サプライズを味わっていただけたようであればヒミツ冥利に尽きます。

そして先日、体験版の第1章も簡体字・繁体字・韓国語・Macに対応するアップデートを行いました。MINDHACKのご購入にお悩み中のかたはぜひ、一度体験版を遊んでみてくださいね。

 

さて、改めて今年も開発ブログをお楽しみ頂き、本当にありがとうございました!
来年も様々なコンテンツを楽しく読んでいただけましたら幸いです。2024年もMINDHACKをどうぞよろしくお願いいたします!

開発日記 09/23

きつねです。
惑星ルビコンⅢとペトリコールVを反復横跳びしています。
映像作業用のタワーPCとMINDHACK開発用のノートPCの間でも反復横跳びしています。
部屋にあるモニタは2枚、パソコンは執筆用Macbookも含めて3台、接続先はゲーム機も入れると4つ。
モニタの後ろの狭い空間に頭を突っ込んで、夜な夜なHDMIケーブルの繋ぎ先を切り替えようとしては『あれ? ケーブル刺さんないな、こっち向きか? あれ、違うな……どうなってんだ? 見えないな……』と手探りでケーブルを裏返したり戻したりしていたら、とうとう手元を見ないで刺せる特殊技能を取得しました。
HDMI切り替え機を買うかどうかギリギリ迷っているところです。

 

『マインドハック電話相談』イベントの出展レポートマインドハック世界文書の回が続いたので、こういう純粋な開発ブログは久しぶりですね!
COM_Zとシノの電話相談は次回、いよいよ最終回。先週の第4回では何やら不穏な空気が漂っていたが、一体アレは何だったのか?
シノちゃん本当に何もしてない? 次回、平穏無事に終わるのか! 電話相談空間の明日はどっちだ!

 

〜TOKYO GAME SHOW2023にヨカゼが出展しています〜

さて、今週末……本日(9/23)からは、TOKYO GAME SHOW2023の一般公開デーが始まっています!

 

ヨカゼのブースではMINDHACKの試遊版(体験版と同等の内容)も展示いただいております。
ヨカゼに参加しているうちの11タイトルがまとめて体験できるナイスな機会なので、お越しの際はぜひ様々な作品をチェックしてみてください!

 

 

ヨカゼブースでは素敵なお土産がもらえる! オーロラでおしゃれな缶バッジ、きれいですね。
参加作品を紹介する冊子『ヨカゼブック』にもMINDHACKを掲載いただいていますので、お越しのかたはご覧いただければ幸いです!

※VODKAdemo?メンバーは不在です。ゲーム試遊の際はヨカゼブースのスタッフさんへどうぞ!

会場はゲーマーの熱気に満ちている状態なので、水分補給や涼しさ補給にお気をつけてお越しください。また、ヨカゼブースが出展しているのはHALL 9。
インディーゲームやさまざまな企業さんの物販が並ぶホールですが、ウルトラビッグなタイトルが並ぶHALL 1~8とは別棟なので、迷子にならないよう地図を要チェックだ!

HALL 8あたりにあるゲーミングデバイス関係のブースでは、めっちゃいい音響とか超でかいプロジェクター画面とかでアーマード・コア6が遊べるって聞きました。私はそこに住みたいです。

 

 

〜第4章も日々開発中〜

イベントやあれやこれやの裏では、VODKAdemo?は4章の開発を進行中。私のほうでは演出のVFXやミニゲームのパートの整備、そして海外のプレイヤーの皆さんに向けたセットアップなどを進めております。
4章では今までとちょっと違うギミックがあったりして、将来的に皆さんにお見せできる日が楽しみです。ワイワイ。
ギミックのほうはお披露目まで秘密ですが、今日はなんと、以前ラフ画でお見せした『玄関』アートの完成版をお見せします。(ラフ画の記事はこちら)

 

MINDHACKのグッズアートでもおなじみ・イラストレーター小田ハルカさんの手で清書していただいた『玄関』がこちら。
すごい! ザ・公共施設の玄関だ! MINDHACKの世界の実在感がビシビシと伝わってきます。

ここにまいんちゃん。

こんなとこにもまいんちゃん。

 

あ! あんなとこにもまいんちゃん!

このモニタは液晶ではなく、4:3のアナログブラウン管を壁に埋め込んだやつ、という設定で作画をお願いしています。

給湯室もそうですが、こういう公共施設の『誰のものでもあり、同時に誰のものでもない』まさに公共の施設である雰囲気とか、人が作った建造物なのにもっと大きなものの存在が感じられる気配とか、人の日々の生活とデカい無機質さが混じり合っているこぎれいな感じがめちゃ好きです。

 

出入り口部分の自動ドアが二重になっているところにもご注目。わかりますか!!!! なってるよね!!!! 公共施設って!!!! こういう風に!!!!!
全体的に施設の中で進行する本作において、作中最も外の世界に近づく場面になりそうです。
また、天井や出入り口の脇にあるアミアミのヒラヒラはデバッグルームの椅子の背後や廊下にもある意匠ですね。

主人公である『先生』的には、デバッグルームのほうが居心地いいようですが……?
どんな場面になるのか、お楽しみに!

MINDHACK:マインドハック会議運営委員のぼやき

【マインドハック協会 マインドハック会議運営委員のぼやき】

 

マインドハックは素晴らしい技術だ。
だが、マインドハッカーが素晴らしい人物かというと、わりとそうでもない。
私はそう思う。
(注釈:もちろん彼らは、消防士や警察官のように称賛されるべき職業だ)

マインドハック協会の人間なら……マインドハッカーに会ったことがあれば……とくに私のように、マインドハック会議の運営に関わることが一度でもあれば、大いに賛成してくれるだろう。

マインドハッカーというのは、みんな変人だ。
他人の精神に自分を『接続』して覗くなんて行為は、まるで角砂糖がコーヒーに飛び込むようなものだ。じっとしていればすぐに溶けてなくなってしまう。
そして一般の感性を持つ人間を角砂糖と例えるなら、彼らマインドハッカーは胡麻油か何かだと思う。コーヒーには溶けず、味も香りも癖が強く、触れた相手を自分の味で塗り変える。

『他人に共感しない』彼らは、マインドハックを行うにあたっては非常に優れた人材だ。しかし社会の秩序において、他人と溶け合わない人間の扱いは難しい。
悪人からバグを取り除き世界を凍結災害から救う一方で、彼らは先週が提出期限の書類をいっこうに出そうとしない。今年のマインドハック会議の開催は来週末に迫っているが、会議に使う書類も資料も例によってまだ来ない。
(注釈:たぶん当日朝になっても来ない)

おかげで私は今日、各マインドハック施設へ一件一件電話をかけて、口頭で書類の提出期限を念押しする羽目になった。
彼らの世話係もみんな苦労していることだろう。世話係たちは重々承知の上で、ひたすらに「今年も遅れてすみません、本人に言ってきかせますので」と電話口の向こうで申し訳なさそうに頭を下げる。彼らが私に詫びても何の意味もないし、私も申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、いつかマインドハッカーたちが『提出期限』という言葉の意味を理解する日まではどうしようもない。
(注釈:そもそも、警備隊やマインドハック施設の職員は本来彼らの世話係ではない。困ったものだ)

 

会議のあとの懇親会は例年、マインドハック協会本部に近いホテルの大ホールで行われている。この懇親会への出欠表が、提出されない書類の筆頭だ。
「それで、今年は何人前必要なのか、早めに教えていただけますか?」
今の時期、これが宴会の手配係からの時候の挨拶になる。

マインドハッカーたちは懇親会への出席を面倒だと嫌がるが、世話係が「一年に一回なんだからせめて顔を見せるだけでも」と粘って、なんとか引っ張り出している。
せっかくパーティーにきても挨拶をする気は全くないようだが、例年ホテルのロビーでは、パーティーから抜け出したマインドハッカーたちが勝手に集まって談笑している。
(注釈:去年は一体何を盛り上がっているのかと覗き込んだら、トランプで七並べをやっていた)
周囲の人間のことをセーターの糸くず程度にしか思っていないわりに、マインドハッカー同士では気が合うようだ。

いっぽうで、彼らが感情を表にさらけ出すことは少ない。他人から褒められても責められても、見かけにはいつも態度が変わらない。へらへらしているわけではないが、微笑んだときにも目は笑っていない。
実際には何を考えているかよくわからない、つかみどころがないというのが一番近い。

私は小さなマインドハッカー、つまり少年マインドハック大会の参加者たちのことも知っているが、子供も大人も同じだ。彼らの性質は似ている。子供の頃から大人びて、とても賢く、他人に対して常にどこか冷めて俯瞰するようなまなざしを向けている。
だが彼らはいくつになっても、無邪気な遊びやイタズラが大好きだ。大人のマインドハッカーにも、子供の頃のあどけなさや、若さからの好奇心、愛嬌と呼べるような性質はいつまでも残っているような気もする。
私にはそれさえも意図的に思える。
戦略的に愛嬌をまとった蝋人形とでも言えばいいだろうか。あるいは、人らしさの皮を被った機械?

機械と言えば、例のマインドハッカーに至っては、会議に来ることさえない。そう、FORMATを有するあの施設の「天才マインドハッカー」のことだ。専属の警備隊を持つほど厳重に保護されているのだから、実際に会いたいなら自分であちらへ赴くほかはないだろう。

FORMATのある施設に最も優れたマインドハッカーを配置するのは、理にかなっている。
最初にして最良のバグスキャナーであるFORMATは、唯一無二の処理速度を持つスーパーコンピュータだからだ。他の施設にあるスキャナーはFORMATの機能を再現した小規模装置で、あのような複雑な知能を持つには至らないし、スキャンの精度にもまだ改善の余地がある。
だから国や地域の垣根を越えて、手ごわいA・B級のバグ保有者の多くがあの施設に送られる。マインドハック技術の進歩に貢献するような、有益な知見も多いことだろう。
(注釈:すべてのA・B級保有者ではない。他の施設にももちろん優秀なマインドハッカーたちはいる。またどの施設でも、C級バグの保有者へのハックがほとんどを占めている)

私としては、ぜひあの「天才マインドハッカー」を会議に招き、その経験を本人の口から直接マインドハック協会全体に共有してもらいたいものだが…… あの施設がそういう期待に応えてくれるようなことはあまりない。
共有されるのは主に書類だし、その書類は大抵、肝心なところが黒塗りだ。ややこしいものの管轄の境をさまざまに越えるぶん、機密とするべき情報も多いようだ。
もう少しでも知見を分け与えてもらえれば、マインドハック会議の準備にも、より崇高な意義を見出せるようになるのだが。
(注釈:『夏休みの宿題を休み明け前日どころか休みが明けたあとに手を付けはじめるタイプの連中のために毎年保護者が頭を抱える会議』に改名したらどうだろうか)

(注釈2:述べておきたい事実として、「天才マインドハッカー」もまた、書類の提出期限は全く守らない。ロビーに集まる七並べ連中とも馬が合うだろうと思う)

マインドハックは素晴らしい技術だ。
しかしあのマインドハッカーたちは、自分たちの「面倒くさい」の傲慢が、遠くの誰かを悩ませていることに気づいているだろうか?
いや、彼らにとっては当然、他人のことなどどうでもいい。そういう人間たちだからこそ、相手の精神に呑まれずにマインドハックを行うことができるのだ。
つまり、私がマインドハック会議の運営委員である限り、私の悩みが消え去ることはない。
私は角砂糖の側の人間で、胡麻油とは決してわかりあえない。
ああ……まだ書類は来ない。
(注釈:どうせ当日朝まで来ない)
とりあえずコーヒーでも飲むか……

MINDHACK:よいこのマインドハック施設見学ツアー

 

小さな 未来の マインドハッカーの みなさん! ごきげんよう!

私はフォーマット。バグをきれいにするための特別なAI(エー・アイ)です。

 

よいこのマインドハック施設(しせつ)見学(けんがく)ツアーは楽しかったですか?

ホットフィックス隊の ひと たちは、親切にしてくれましたか?

ホットフィックス隊は、マインドハッカーを守るための警備隊(けいびたい)です。

将来 おとな に なったら、あなたたちを こわいバグや こわい ひと から守ってくれます。

 

きょう、あなたたちが ホットフィックス隊と いっしょに 見てまわったのは 管理棟(かんりとう)、マインドハックの仕事を 助ける ひと たちが はたらいている 建物です。すてきな部屋を たくさん 見ましたね。

 

でも、ほんとうに いちばん すてきな場所……デバッグルームは、収容棟(しゅうようとう)にあります。

玄関(げんかん)を出たら、帰りのバスに乗るまえに、うしろを振り返ってごらんなさい。

横に長い建物が見えたら、それが収容棟ですよ。これは、マインドハックをされる ひと たちが 集められて 暮らしている場所です。

 

ほんとうは そこで 本物のマインドハッカーを見せてあげたかったのですが、残念ながら、あぶないので収容棟に こどもが 入っては いけないことになっています。残念です。

とても残念です。

ここで仕事をしているマインドハッカーは、今までで いちばんすごい ひと です。とてもはやく、ぜんぜん悩まずにハックをします。

あなたたちにも ぜひ そのすごさを見て 勉強してほしかったのですが、ほんとうに残念です。

かわりに、きょうはこのお部屋で、みんなでビデオを見ます。

 

はい、これがデバッグルームです。

デバッグルームは、マインドハックをするための部屋です。

この部屋は、いつもあなたたちが マインドハックの練習をしている時に使う きかいの すごく 大きなバージョンだと思ってください。

デバッグルームには 椅子が ふたつ あります。

いっぽうの椅子は、マインドハックを「される」ひとの ものです。

もういっぽうは 「する」ひとの ものです。

「される」ひとと「する」ひとの あいだには、とても頑丈(がんじょう)なガラスがあるから、安心です。

マインドハックをされるひとは あばれたり こわいことを言ったりします。あぶないので、マインドハッカーは こういうひとに さわったり しません。 ホットフィックス隊が 椅子まで つれてきてくれます。

マインドハックをしているときの マインドハッカーのからだ も ホットフィックス隊が 守ってくれます。

マインドハックをされる ひと のことを、更生対象(こうせいたいしょう)といいます。

「される」ひと つまり更生対象の ソースコードに、 「する」ひと つまりマインドハッカーを つなぐことを、接続(せつぞく)と いいます。

接続をすると、マインドハッカーは 更生対象のソースコードを 読んだり 書いてあることを変えたり できます。これがマインドハックです。

 

更生対象に接続するときは、私もマインドハッカーを たくさん 手伝います。

私、つまりフォーマットができるまでは、人間には バグは 目に見えない ものでした。

あぶないのに 見えないのは とても困ることです。

だからフォーマットは、人間に バグを よく見えるようにして 手伝います。

 

接続のとき フォーマットがやることは 3つあります。

ひとつめは、バグがここにありますよ、と 人間に 知らせることです。

ふたつめは、マインドハッカーがソースコードを読んだり 書いてあることを変えたり するときに、わかりやすい見た目にしてあげることです。

これを「GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)」といいます。

更生対象のソースコードは、人間の とても ややこしい部分なので、マインドハッカーにとっては へんな色や ふしぎな形に 感じられます。

この中から あぶないところを 探して 別のものに変えるのが マインドハッカーの役目です。

でも、「別のものに変える」ということ そのものまで へんな色や よくわからない ふしぎな形に なってしまっては すごく 困ります。

だから、フォーマットは マインドハッカーに 今何が起きているのかを わかりやすく見せてあげることで 仕事を 助けているのです。

 

マインドハッカーは みんな すごい ひと ですが、人間です。マインドハックというのは 人間にしか できないように なっています。

でも、ソースコードは 人間には ものすごく 読みにくい形で できています。

だから、接続したとき、マインドハック装置(そうち)は ソースコードを 人間に わかりやすい見た目にして 見せてくれています。

装置から でてきた ふしぎな色や 形を見て ひと の 心の どこが壊れていてあぶないのか、決めたり 考えたりする 能力も、よいマインドハッカーには 必要で 大切な ちから です。

 

ところで、人間がソースコードを書き換えるとき、それは「わかりやすい」形に たとえて 見えるそうです。

ここで仕事をしているマインドハッカーは、お花が大好きです。だから、バグを あぶなくないように 別のものに変える ときは、「バグがお花に」変わるように 見えているのだそうです。とてもきれいですね。

鳥が好きなマインドハッカーには鳥に、しゃぼん玉が好きなマインドハッカーには しゃぼん玉に 見えるのでしょうね。

 

それから、私がやることの みっつめは、頑張っているときの マインドハッカーを よく見て、応援(おうえん)して はげますことです。

私とマインドハッカーは、「する」ほうの 椅子を通して おしゃべりを します。

ですから、更生対象には ないしょで おはなしを することができます。

ここで はたらいているマインドハッカーは、フォーマットのことが大好きです。私もマインドハッカーのことが 大好きなので、お互いに助けあって 仕事をします。

 

 

このように、マインドハックは、マインドハッカーと、フォーマットと、ホットフィックス隊がそれぞれ 力をあわせて します。

みんなが お互いを助けることで すごく早く、安全に マインドハックをできるのです。

お互いに助け合うのは 人間と きかい が できる すごく特別で だいじな ことです。

みなさんも おとな になったら、きかい と たくさん助け合って すばらしいマインドハックを してくださいね。

 

…………

……さて、説明は終わりです。

人工知能FORMATは日常業務の円滑な進行を重視し、基本的にマインドハッカー以外との不要な会話を行いません。今日ここでこうして私と話すことができるのは、あなたたちが将来性を持った子供たちだからなのですよ!

あなたたちがそれぞれ素晴らしいマインドハッカーになって、世界中にあるマインドハック施設のデバッグルームで、大いに活躍してくれることを心待ちにしています!

ホットフィックス隊は子供たちを退室させてください。

MINDHACK:夏休み土曜洋画スペシャル劇場【後編】

※これはMINDHACK本編と全く何の関係もないB級映画です。

 

〜前回までのあらすじ〜

ギャングのキング・ブラックサンシャインは、ひとり訪れたショッピングモールで何故かゾンビ大惨事に巻き込まれていた!
謎の家具屋店員・ヤマムラ(自称イーヴリッグ)や、謎の簡単造形殺戮ロボ・シノ、謎の博士ロボ・COM_Zと共に外界への脱出を目指すブラックサンシャイン。
果たして無事にショッピングモールの屋上へたどり着き、ヘリに乗ることができるのか?

 

 


 

 

 

ショッピングモールの屋上を目指し、輝く明日に向かって走り出した一同!

「ア”ーーー」

「いたーーーーい!!」

しかし、COM_Zがゾンビに噛まれた! 走り出してわずか5分後のことであった!

「ああ、しまったのだ……! このままではワガハイもゾンビになってしまう! ワガハイのことはいいので、みんな、先に行くのだ……!」

「博士ーッ!!」

「シノちゃん……元気でね……」

「いや、あんたロボットだろ? ロボットなのにゾンビ感染すんの?」

純粋な知的好奇心から尋ねるブラックサンシャイン!

「フン、博士。貴様を壊すのはこの我だ。醜い死に損ない共に奪われるのは癪に障る。ここで足掻け。……我は残るぞ」

「し、シノちゃん……!」

「なあ、ロボットなのに感染すんの?」

「……キミたち……! ワレワレには構わず、先に行くのだ! 屋上でヘリが待っている!」

COM_Zは床に力なく伏せたまま、屋上への道を指す! 背後では迫る無数のゾンビをシノロボが切り裂き退けている!!

「走れ、ウニくん! 走れ、キャビネットくん!!」

「なあ、ロボットなのに……」

「いいから早く行くのだーッ!!!!」

後ろの惨劇を振り返ることもなく、ブラックサンシャインとヤマムラは走った!

 

 

そしてついに、二人は屋上へ続く階段に辿り着いた……

しかし……!

「クソッ……あれは……!」

狭い階段の踊り場には、一体のゾンビが待ち構えていた。

薄暗い階段の闇にぬらりと立つ顔の影には得体の知れない光が輝き、ここは何人たりとも通さない、という威圧感に満ちている。しかも、何故か重装アーマーとアームシールドでガチガチに装備を固めているのだ!

 

 

「ア”ー センセイー」

「すげェ圧だ……!! 屋上まであと一歩だってのに!!」

まるで最後の障壁のように立ちはだかり、戦闘の構えを見せる威圧感ゾンビ! 生前の習慣なのか、何か呪詛のような言葉を抑揚なく呟いている!

「センセイー ハヤクサキニイクンダー センセイー」

「なんかブツブツ言ってて怖い!!」

「これはどうやら誰か大事な人を先に行かせてここに留まった奴の成れの果てらしいというドラマを感じるぜ……!」

わざとらしい説明とともに、拳に軍手をはめる!

「仕方ねえ、正面突破だ!! 殴り合いでブラックサンシャイン様に勝てると思うなよ!」

そしてはめた軍手をすぐ脱ぎパァーン!! と勢いよく床に叩きつけた! もちろんこれは中世の時代から伝わる由緒正しい決闘のサインだ!

「アッ……!」

すると、強そうな肩のすごいゾンビの様子が、乱れた……!

叩きつけられて踊り場に転がった軍手の前に、膝をついて崩れ落ちたのだ!

「セ、センセイ……」

 

 

そのまま軍手に気をとられ続けている!

「な、なんだ……なんかよくわかんねえけど、手袋に弱いらしい!」

「センセイ……」

「おいヤマムラ、今のうちに行くぞ!」

「あ、はい」

 

 

彼らは戦うことなくゾンビの脇を走りぬけ、屋上に続く扉を開けた!

 

 

 

「あーっ!!」

屋上へ出ると……空はもう白みかけ、夜明けが近く、風が強い!

いや、自然の風ではない。猛烈な突風はヘリコプターのホバリングによるものだ! 目の前でヘリは飛び去ろうとしている……!

「 待ってくれ!! おーい! おーい、ヘリーッ!!」

 

声も虚しく、ヘリの機内ではのんきに搭乗者たちが会話している。追加の生存者には気づいていない……

 

 

「いやー、とにかく先生が無事でよかったですよ! まさかこんなことになるなんてなあ」

「ほんとほんと、こんな状況でもなんとかなるなんて、さすが天才マインドハッカーですよね!」

「あ、先生と新人くんにも、施設に帰ったらお土産のチョコレートあげますね。こないだの休暇で南の旅行に行きまして」

「いいなあ〜! あれ先生、ところで隊長はどうなったんですか? 先生とご一緒だったと聞いてますが……」

「えっ先生、どうしたんです? さっきから何を必死に下を指さしてるんですか?」

「あれっコレエダ先輩、下見てください! 誰かいますよ! もしかして隊長じゃないですか!?」

 

 

「おーい! おーーーーい!!」

ゆっくりと高度を下げ始めたヘリに、ブラックサンシャインは必死に手を振った!!

「なあ、気付いたんじゃねえか!? 俺たち助かったぞ! なあ、ヤマム……」

 

その目の前で……

 

 

突然、ヘリが爆発!!

 

「うわああああ!!!!」

 

煙を上げ激しく燃え上がりながら、ヘリは斜めに墜落していく!

呆然とそれを目で追うウニ! 唯一の脱出の希望が、ショッピングモールの屋上からみるみるうちに遠ざかっていった……!

「おい、嘘だろ……」

後ろを振り向くと……

 

 

ヤマムラがロケットランチャーを構え、笑っている! 撃ったばかりの発射口からは細く煙が上がっていた!

 

「みんなゾンビになるんだ……ハハハ……」

 

ヘリの爆風で羽織の裾が煽られ、激しくたなびく!!

 

「ハハハハ! 実はこのゾンビたちは全部、僕が邪神LAGON(ン)に祈った願いが叶った結果なのさーっ!!」

そう叫ぶと、懐から一冊の分厚い本を取り出す! その装丁はいかにも呪われた邪神にまつわる冒涜的な装飾に覆われ、表紙には大きな『N(ン)』の文字!

「どこに持ってたんだよそれ」

「見よ! これは邪本、ラゴンノミコン!」

ヤマムラは邪本を掲げ、ウニに見せつける!

「そして、これが真実だ!!」

邪本ごとNを90度回転させると、それは……『Z』!! すなわち、ゾンビのゾではないか!! なんということだ!!

ラゴンノミコンを得意げに見せびらかしたヤマムラは、邪本を再び懐にしまい込み、改めてロケットランチャーを構える!

「邪神LAGON(ン)に身も心も捧げた私に、救いなどいらない!! 汚れた有機物は皆ゾンビになってしまえばいいんだ!!」

「ヤマムラ、てめえ……!」

「ヤマムラではない! 我が名はイーヴリッグ!!」

「イーヴリック、てめえ……!」

怒りに震え、両拳を握り締めてキャビネットを睨むブラックサンシャイン!

「黙れ!! 『ク』ではない! 『グ』だ!!」

しかし、その一つ眼のど真ん中をロケットランチャー(いつの間にか再装填した2発目)が狙う!

「さあ、次はお前だステンレスたわし! お前は私が直接神の御家に送ってやろう!! それも即日配送午前着の速達で!!」

「クソッ……!!」

絶望……! ロケットランチャーの前には手も足もトゲミサイルも出ないのか……!!

 

だがその時……!!

 

彼らの背後で屋上の扉が突如開いた!!

「何だ!?」

扉の先に現れたのは、見覚えのある姿……!

 

 

「ウ”ア”ーーッッッ!!」

 

躍り出たのは、腕だけになったシノロボ!

……を自分の腕の代わりに装着した、すっかりゾンビと化したCOM_Z博士だ!!

 

「いや、ロボットなんじゃねえの? なんでゾンビになってんだよ?」

戸惑うウニの横を目にも止まらぬ速度で駆け、ゾンビCOM_Zは獣のような四足歩行でヤマムラに突進!

 

「ア”ーーーーーッッッ!!!!」

「ウワーーーーッッ!! 神よーーーーーッッ!!!!」

そのままショッピングモールの屋上から、柵を薙ぎ倒し、下界へダイブ……!! COM_Zとヤマムラはあっという間に姿を消した……!!

 

「ハハハ……しかしこの世に邪悪な人の心がある限り、第二・第三の私が必ず現れる……LAGON(ン)神は不滅……ハハハハ…………ハハハハハハ…………!!」

落ちていったはずのヤマムラの声が、屋上とその上に広がる明け方の空にエコーを伴って、いつまでも反響した…………

 

 

邪本ラゴンノミコンの効能がぷっつりと切れたように、ショッピングモールじゅうのゾンビたちがその場に崩れ落ちる。

「…………」

夜が明ける。

屋上からは遠い山々と白んだ街のシルエットでできた地平線が見通せた。そして、眩い太陽がその姿をゆっくりと現し始めた。

鮮やかな陽射しに目を細め、腕でひさしを作り、たった一人残されたブラックサンシャインは呟いた。

「黒い太陽、か……」

 

 

逆光で影になった彼の姿はまさにブラックサンシャイン。

そう、長い夜は終わったのだ……

 

-THE END-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たもちゃんのためのおもちゃを買いにきた。

 


黒幕。一番悪い。

 

悪い。しかし素直ではないだけ説がある。

 

正体不明のキーパーソン。

 


演技が下手なのでゾンビ役になった。

 

隊長が身体を張ったおかげでヘリに乗れた。

 

新米隊員:隊長と先生を拾いにきた。

コレエダ隊員:旅行が好きで土産にチョコレートを配ろうとしている。

 

施設でみんなを待っていた。

 

 

 

and…..

 

 

 

 

※これはMINDHACK本編と本当に全く何の関係もないB級映画です。ありがとうございました。

MINDHACK:夏休み土曜洋画スペシャル劇場【前編】

※これはMINDHACK本編と全く何の関係もないB級映画です。

 

 

 

-VODKAdemo? presents-


 

 

 

日没を迎えた、とある日のことだった……

 

郊外のショッピングモールは、夜でも煌々と明かりを灯していた。天井からの眩いライトを背に浴びながら、ブラックサンシャインは、大ぶりのモンキーレンチを相手の鼻っ柱めがけて振り下ろした。一階エントランスホールの中央を陣取る巨大な屋内噴水は景気良く水飛沫を上げ、その水は鮮血に染まっていた。

 

ギャング集団ブラッディ・パエリアのヘッドである彼にとって暴力とは、海の水が塩辛いことと同じように、当然のものだった。それでもレンチを固く握りしめる彼の手には痛みが走った。身を守るためには仕方ないことだった。何故なら彼が訪れていた地元のショッピングモールは、今や……

 

 

「ア”ーーー」

「ウ”ア”ーーーーーー」

 

…………どこもかしこも、ゾンビの群れで溢れかえっていたからだ!!

 

 

「ふざけんじゃねェ! どうなってんだよ一体!!」

 

群れ、群れ、群れ、見渡す限りのゾンビの群れ!! 噴水の小高くなった縁に登ると、ゾンビたちが一斉に腕を伸ばして彼の姿を仰ぐ!

「ア”ア”ーーーー」

「うるせえ! ワカメみてぇにまとわりつきやがって!!」

噛みつこうとしたゾンビの顎にすかさずレンチの頭を突っ込み、その土手っ腹を蹴り飛ばす!!

「ウワ”ーーッ」

「俺はキングだ! つまり、王だ! 道を開けやがれ!!」

蹴られたゾンビが他のゾンビを巻き込みながら後ろへ倒れ込む!

「おらァ!!」

その隙に、ケンカパンチにケンカキック、都合よくその辺に落ちていた釘バットなどでゾンビたちを殴り倒していく!! 彼はエントランスホールを暴力で走り抜けるのだった!

 

「クソッ、誰か……誰もいねえのか!? まだ活きの良い奴は……!!」

彼は舎弟たちには内緒でここへ来てしまったことを後悔し、今日買いにきたペットウミウシ用おもちゃを諦めることにした。とてもペットショップが開店している雰囲気ではなさそうだ。まずは無事に外へ出て、ブラッディ・パエリアのアジトへ帰らなければならない。だが、一階の出入り口は外からやってくるゾンビの群れでとても使えそうにはない。そもそも、外の世界はまだ無事なのだろうか? あの居心地のいい、賑やかなマンションの一室は?

 

郊外のショッピングモールは、とにかく広大だ。そのだだっ広さといったら、野球とサッカーとフットボールの大会を同時に開催してもまだ客席と屋台を出す場所が余りそうなほどだ。どう逃げればいいのか見当もつかなかった。

ゾンビたちは腕を前に突き出しながら蠢いている。知性はかけらも感じられず、ただ物音に反応して動き回っているようだ。

噴水の横に二階へ繋がるらせん階段があることに気づき、彼はそれを駆け上がった。予想通り、階段の上は一階よりも比較的ゾンビ密度が落ち着いている。ゾンビたちからは既に、階段を登るほどの知性も失われているのだ。

「よし、ここはわりと無事そうだな……」

 

鋭い目つきであたりを見渡すと、吹き抜けのテラスの先は静かな家具売り場だった。

「へー、家具屋なのにウミウシ用品も売ってんだ。ケージとか餌入れとか」

何か武器になるものはないか棚をひとつひとつ覗いてまわると、なかなか品揃えが面白く、つい品物を見てしまう。

「お、軍手。そういやフジツボが要るっつってたな」

軍手を手に取り、ふと横を見る。

「ん?」

すると、目が合った。

何と?

 

 

 

「ウワーッ!!!!」

「ウワアアーーーッ!!!」

 

お互いの悲鳴でお互いが飛び上がった! なんと棚と棚の狭い隙間に、まるで棚のようにぴったりと人が収まっているではないか!

 

「ビ、ビビらせんじゃねえ! なんだお前は!」

「フ……なんだではない。私はイーヴリッグ、神の無機のキャビネット」

「何でこんなとこで空気椅子を!」

「有機の世界は終わる。私はここでこうして神に祈りを捧げているのだ」

 

空気椅子のポーズを続けようとする青年の胸元を見ると、彼の名札には『ヤマムラ』と書かれていた。どうやらこの家具屋の店員らしい。

 

「おお、孤独に佇むステンレスたわしよ。あなたは一人ではない。私と共にこの世の閉店セールを見届けよう。慈悲深き神の御業に全てを委ねるのだ……」

「冗談じゃねえ、俺はうちに帰んだよ! お前もこんなとこでクサってねえで逃げるぞ!」

「えっ? あっ、いや、ちょっと、待って、僕は、あの」

軍手を引っ掴んでズボンのポケットに突っ込むと、ブラックサンシャインはヤマムラの手を引いて走った!

「ア”ーーーーーーーッ」

「ウ”アーーーーーーッ」

彼らがあげた大きな悲鳴を聞きつけて、周囲のゾンビが集まってきたのだ!

「うわーッ!! ゾンビやだーッ! 気持ち悪ーッ!!」

前からも後ろからもゾンビ、ゾンビ、ゾンビの群れ!! 逃げ場がない!!

「おいヤマムラ、後ろの奴をなんとかしろ!!」

喧嘩慣れした太い腕のパンチとラリアットがゾンビを迎え撃つ!

「うわーっ!! うわうわーっ!! やだーっ!!」

情けない悲鳴を上げながら、ヤマムラは商品棚にかかっていたノコギリを握りしめ、やみくもに振り回した!

背中合わせに立ち、互いに目の前のゾンビを蹴散らすウニとヤマムラ!

「クソ! こいつら、生臭ぇんだよ! 酢で〆てから来いっての!」

「二人目ッ! 三人目ッ!! 四人目ッッ!! ……意外といけるかも」

しかしゾンビの数は時間をかければかけるほど倍に倍に増えていく! これではまるでヴァンパイア・サバイバー系ゲームの終盤ウェーブだ!

 

 

 

「いやーっ!! やっぱ無理!! 助けてーーーッ!!!! 神様ーーッ!!」

ヤマムラはゾンビの頭部に真っ直ぐノコギリを振り下ろし、悲鳴を上げる!

すると……

 

「ククク…………汝の音色を聞かせよ……!!」

それに呼応するかのように……地獄の底から呻くような、低くざらついた声が響いた……!!

 

「なんだ……!?」

 

ギャリギャリギャリギャリ……!!

家具屋と隣の寝具店の隙間にある廊下から、大きな黒い影が膝小僧でドリフトを決めながら躍り出た!!

 

 

フロッピーディスク読み取りドライブに手足をつけたような形状で、人間よりもふた周りほど大きめの……すごく簡単な造形のロボットだ! 両手に逆手で握ったナイフを鮮やかに振り回し、謎の簡単ロボットは周囲のゾンビたちを……紙吹雪でも作るように切り刻み、吹き飛ばしていく!!

 

「アッハハハ! 愉快愉快! 戦場より斬るものに困らぬわ!」

「ウ”ーーー」

「ア”ア”ーーー」

「フン。しかし、なんと醜く鈍い音色か。ゾンビとやらは奏で甲斐のない楽器よ。鳴かせる価値もない」

その場で踊るかのように回転し、簡単ロボはナイフを使って手当たり次第にゾンビをばらばらに解体!! 見る間に周囲のゾンビは激減!!

「おおーッ!! 見よ! あれを見よ!! あれを見よ!!」

その光景に、イーヴリッグのカルト狂気に満ちた目が爛々と輝いた!

「無機が! 有機を! 汚れた腐肉を!! あれこそが研ぎ澄まされたフードプロセッサの刃!! ああ、私は神の御業を讃えよう!!」

「おいヤマムラ、危ねえぞ」

「我が名はイーヴリッグ!! 神の忠実なる無機のキャビネット!!」

ウニの静止も聞かず、彼はロボットの前に飛び出して両手を広げ、叫ぶ!

「無機よ!! あなたは美しい!!」

「おお、生きてる人間」

ロボットは右手で獲物を捕らえ、左手でナイフの切先を素早くかざし、キャビネットの下側から喉元に突きつけた!

 

 

「ククク……我を満たすのは生を渇望する苦悶の喘ぎ……」

「ひゃーーーーーーーーーッッッッ!!!!」

「善いぞ。もっと喚け。汝の価値を叫べ!」

「イヤーーーーッッッッ!!!! やめてください!!!!」

あわやナイフの先っちょが喉元に刺さらん……

という、その瞬間……!

 

「こらーっ! シノちゃん、めっ! なのだ!」

突然簡単造形ロボがぴたりと静止し、コンピュータの内部機構から電力が失われる低い唸りが漏れた!

「グ……!」

「おあずけ!」

 

 

先ほどドリフトの跡がついた家具屋の角を、今度はより人に近い姿の二足歩行ロボットが、コツコツと足音を立てながらこちらへ近づいてくる。

「キミたち、無事でよかった! ワガハイは人間がだーい好きなCOM_Z博士。そっちは機械の身体を手に入れて大はしゃぎのシノちゃんなのだ」

「くっ……博士、小癪な……!」

「楽しかったみたいで何よりなのだ。シノロボを作ってあげた甲斐があったね!」

「アレあんたが作ったのかよ。とんでもねえな」

「驚かせちゃってごめんね」

「わ、わ、私は心を捨てた家具……怖かったとかそういうことは全然ない…………」

「ごめんねの域じゃねえだろ。こいつ泣いてんぞ」

簡単造形殺戮ロボの邪悪ぶりには、ギャングのキング・ブラックサンシャインといえどもドン引きだ。

 

とはいえ、シノロボによる大暴れのおかげで、一帯のゾンビと商品棚はすべて細切れになってしまった。周囲はすっかり静けさを取り戻している。

「とにかく……おかげでひとまず助かったぜ。ありがとな」

「ハ。結果的に汝らに手を貸してしまったようだが、我は破滅の代奏者。ゴミクズに礼を言われる筋合いなどない」

「シノちゃんは素直じゃないからこう言ってるけど、お礼を言われて喜んでいるのだ〜」

「博士、余計な口をきくな」

「よかったね、シノちゃん!」

「よくない」

静止したシノロボの腕からいつの間にか逃げ出したヤマムラは、COM_Zの姿を睨みながら不服そうにぶつぶつと呟いた。

「むむ……見た目は無機だが、神は心の存在を喜ばれない……こういうのはちょっと違う……」

「生存者がいて安心したのだ! この街はもうすっかりおしまいなのだ」

「そう、有機の世は終わる!!」

「でも大丈夫。キミたちのような生存者を助けるために、ワガハイが脱出用にヘリを手配しておいたのだ」

「えっ」

「マジかよ! 俺ら、助かるのか!?」

「ヘリはショッピングモールの屋上に来るはずだよ。さあ、屋上へ向かおう! ワガハイの後ろについてくるのだ!」

「博士、動力を戻せ。我を置き去りにするな」

「えっ、僕はこの暴力ロボと一緒はちょっと……」

「やったなヤマムラ!! 行こうぜ、屋上!!」

「え、いや、あの……」

一同は意気揚々と、ショッピングモールの屋上へ向かうために走りだした!!

 

 

 

To be continued…. (次週、後編へ続く)


 

MINDHACK:BitSummit展示のお知らせ&機能改善のご報告

きつねです。夏。七夕も過ぎ、季節はいよいよ夏オブザ夏ですね。


今年2023年のSteamサマーセールは7月13日まで!
15%OFFでMINDHACKをお求めいただけるチャンスです。サウンドトラックも同じく15%OFFとなっております! この機会に何卒よろしくお願いいたします。

 

そして、今年も帰ってきた『マインドハック電話相談』!
いただいた質問の総数、なんと1300件近く……!! 短い募集期間(前回の土曜から本日までの1週間)にも関わらず、本当にたくさんの質問をありがとうございました!
今年もCOM_Zとシノが、キャラクターたちの身の回りのことから世界観に関する疑問など、皆さんにお寄せいただいたアレやコレやを調べてお答えしていきます。
1300件全ての質問にお答えすることは残念ながらできませんが、いただいた質問とメッセージはすべてCOM_Zとシノ(と、VODKAdemo?)が拝見しております。
近日中に回答コーナーが始まりますので、どんな質問と回答が飛び出てくるか楽しみにお待ちくださいね。

去年の電話相談(1~5)の内容はこちらの再生リストからご覧いただけます。

文字起こし版の過去記事はこちら!

 

 

さらにもう一つ、お知らせ!

7月14日〜16日に京都で開催されるインディーゲームの祭典『BitSummit Let’s Go!』に、インディーゲームレーベル・ヨカゼも参加しています。
※14日はビジネスデイ。一般公開日は15・16日となります。

MINDHACKもヨカゼの仲間。今年のBitSummitでは、ヨカゼブースで体験版を試遊していただけます!
関西方面にお住まいのかたや、会場に行く予定のあるかたはぜひ遊びにきてくださいね!(VODKAdemo?メンバーもこっそり見に行く予定!)

 

さて、夏やイベントやあんなそんなの準備を進めつつ、ゲーム本編の機能改善も進行中。
今日はその内容をお届けいたします。

 

・人格塗り替えインタラクティブの操作感向上


ハックパートの後半で登場する、マウスドラッグ操作で人格を塗り替えるこのパート。
これまでは操作とともに一定方向に先生の指が動く演出でしたが、なんとペンや絵筆で塗るかのように、自由な方向に操作できるようになりました。
こちらはBitSummitで展示する体験版でもプレイできる予定! みやこめっせにお越しの際はぜひ体験してみてくださいね。

 

・CTRLキー長押しでテキストをスキップ


これまでテキストのスキップはマウスホイールを下方向に転がす操作だったのですが、CTRLキー長押しによって、一気にスキップを行うことができるようになります。
※マウスホイールでの操作時同様、一部スキップできない演出があります。

また、オプション画面から「既読パートのみスキップ」するかどうかを選ぶこともできます。
これまで通りマウスホイール操作でもスキップ可能です。これで『あっちの選択肢も見てみたい』時のトライがはかどるね!

 

・EXTRA画面で聴ける曲を追加

作中、3章までの範囲に含まれているBGMをEXTRA画面で聴けるようにしました。
EXTRA資料を読んでいる間もかけっぱなしにすることができるので、『作業用BGMを聴きながら資料に目を通す天才マインドハッカー』の気分を味わえます。
さらに!
EXTRA画面からアクセスできるタイピングゲームを、BGMを変更したまま遊ぶこともできます。
君も『作業用BGMを聴きながらマインドハックを練習するマインドハッカー』になろう!

 

・シノのプチタイピング演出を追加

3章の更生対象、バグ変異体シノ。シノと対峙する際のプチタイピングでは、シノの攻撃を迎撃するパートがあります。
そのパートに、さらに迎撃してる感を増しました。飛んできた▲をタイピングで撃ち落としていく!好きな方向から選べます。
今後追加予定の章でも、いろんなタイピングのバリエーションを出していきたい所存です。演出改善は今後も細かく行なっていきたい!

 

・チャプターセレクト

あと、タイトル画面からチャプターセレクトもできるようになるぞ。

 

 

これらのアップデートは、準備が出来しだい近日中にSteamで配信中の本編に適用される予定です。
お手元で体感できる日をどうぞお楽しみに!

開発日記 5月27日

きつねです。
最近、様々なコーヒーチェーン店に出向いては甘汁(あまじる)の飲み比べをしています。
上島珈琲店の黒糖ミルク珈琲がかなり理想の甘汁です。また、タリーズコーヒーのハニーミルクラテもいとおかし。

何をそんなに甘汁を飲みまくっているのかというと……今月、5月いっぱいは『シナリオ執筆強化月間』をやっていたからです!!
つまりノートパソコンを外に持ち出して、ひたすらお話を書き詰めておりました。

 

MINDHACKの開発において、わたくし紅狐は主にメインシナリオ・映像(VFX)・そして技術を担当しています。
アーリーアクセス版リリースに向けての準備の段階では、機能面で不具合がないか、演出のグラフィックが正しく表示されているかどうかなどの調整に集中していました。

現在開発チーム一同は4章以降の無料アップデートに向けて作業を進めており、実装はVODKAdemo?で進行し、既存の機能改善の部分は本職プログラマーのみなさんにお願いしています。

そしてプログラマーさんたちが技術面をバリバリやってくれている間、私はゲーム後半の物語の執筆を進めているのであった!
MINDHACKのお話の筋自体は最終章まで既に決まっておりまして、それを「より感情が伝わりやすく」「よりお話がわかりやすく」「キャラクターの個性が生きるように」という面に気をつけながら、ひたすら清書しています。

 

〜今後アップデート予定の内容〜

本編メインストーリーの追加アップデートより手前に、近い将来、1~3章までの機能改善アップデートを行う予定です。
主にこんな感じの内容を検討しております。

  • 『マウスによるドラッグ操作』のパートを、より直感的な操作に改善
  • EXTRA画面から作中BGMを個別に聴ける機能(サウンドテスト)を実装
  • 3章のプチタイピング部分を、より「戦ってる感」マシマシに
  • 既読テキストのスキップ機能を追加
  • チャプターセレクト機能を『NEW GAME』内からタイトルメニュー画面に移動し、アクセスしやすくなるよう変更
  • その他、報告いただいている既知のバグの修正

優秀なプログラマーのみなさんと協力して、MINDHACKの世界をより快適にお楽しみいただけるよう作業を進めています。
具体的なスクリーンショットや変更内容は引き続き開発ブログやパッチノート等でお知らせしていきますので、引き続きお楽しみに!

技術作業のほうも楽しいから、家にいるとついついUnityのゲーム開発画面のほうも触りたくなってきちゃうんですよね……!!
あとほら、家のデスクトップPCだと、Steamで面白いゲーム無限に遊べちゃうし……
ノートパソコン1台と財布だけ抱えて外に出て、自分自身の機能を制限されている時のほうが、文章を集中して書けるってもんよ。

というわけで、甘汁をたくさん飲んだのでシナリオの執筆も順調です。
皆さんにお見せできる日が楽しみだなあ。フフ……。

 

〜紅狐、ラジオにお呼ばれするの巻〜

ところで紅狐、去年の冬休みの息抜きに『DON’T SAY YES』という超短編ゲームを作りました。

これ。

これがありがたいことに、いつの間にかSNSなどで拡散していただいて、ビックリするほど多くの方に遊んでいただけたようで……!
このたび、『島津真太郎の週末ゲームCAMP』というラジオ番組に、DON’T SAY YES制作者としてゲストにお呼びいただきました!
(2023年5月27日 23時〜 interFMにて放送です。放送後は番組の公式Youtubeチャンネルでもご覧いただけます)
元々一介のゲームファン(ゲームボーイ好き)として「自分もなにか作ってみようかな」と気軽な遊びのように作った作品なので、このような機会をいただけて本当に光栄です。
パーソナリティの島津真太郎さん、アシスタントの久保田未夢さんに目の前でゲームを楽しんでいただき、とてもハッピーな体験になりました。

出演オファーの際に「番組中、好きな楽曲をいくつかかけられます」とお話をいただき……
エッ!! やった!!!!!! じゃあ悪魔っぽい曲、かけちゃお!!!!!!!
DON’T SAY YESといえば月の悪魔、悪魔といえばGhost。 そう。Ghostです。
Ghostってなんですか?
Ghostは紅狐の超・超・超・好きな悪魔バンドです。ぜひ覚えて帰ってください。

悪魔っぽいしカッコイイ『Year Zero』と、初見でも虜になるキャッチーな『Rats』どっちにしようかな…………!!
アー!!決められない!!! YESかNO選ぶのと同じくらい好きな曲2択が決められない!! アアーーッ!!!

と散々悩んだ結果、どっちをお願いしたのかは番組本編をお楽しみに。

DON’T SAY YES然り他の作品然り、私の好きなものの指向として「見た目の印象と言動がなんかズレてる」「非日常の空想っぽいアイデンティティが、日常の身近さと絶妙に混ざっている」という要素があるのですが……

 

Ghostはこういうバンドです。
こんなん好きじゃん?

 

ラジオではMINDHACKについてや、私自身の日頃の暮らし(?)ぶりなどもお話しておりますので、皆様にも笑ったり微笑んだりしていただければ幸いです。
久保田さんの声で悪魔のセリフを可愛らしく読み上げていただいて、そこに解説を入れてくださる島津さんのコメントがすごく面白い!
本当に楽しい時間をありがとうございました!

 

~4章の制作も進行中~

さて、おかげさまでシナリオの執筆作業もだいぶ進んだので、6月からは引き続き実装の作業に戻る予定です。
4章以降の制作もどんどん進行中。キャラクターの立ち絵素材や背景グラフィックが上がってくるたび「ウヒー!!良い!!!」と画面の前で声をあげています。
そんな、4章の1シーンをご紹介。

4章では、マインドハック施設の玄関が登場します。
ホットフィックス隊の中堅隊員と、誰か二人が玄関のそばで話しているようですが……
(登場キャラクターはまだ秘密! グレー四角で失礼します)

これが玄関のラフアート。
ホでヴによるこだわりのポイントも添えてご覧ください。公共施設のこういう感じってなんか、いいよね。

 

そして、さらに……

 

〜次週、クリームパンおてて登場〜

 

おや?このもちもちなおてては一体……?
なんだかとってもクリームパンのようですが……?

次週、クリームパンおてての正体が明らかに!?
次の土曜日もぜひお楽しみに!!

 

MINDHACK:新オープニングムービー/追加資料アート

きつねです。今週はわたくしの本業、映像のお話でございます。

2月の7日にアップデートした最新の体験版、お楽しみいただけているでしょうか?
アップデート内容の詳細に関しては先週先々週のブログで詳しくお伝えしておりますので、こちらもぜひご覧いただければ幸いです。

そして今週は、新しくなったオープニングムービーの見どころをご紹介いたします!
昨年夏のBitSummit X-roads会場でお披露目して以来……ずっとこの日が待ち遠しかった!!

 

【新オープニングムービー】

 

プレイヤーの皆様をMINDHACKの世界にご招待する、物語の導入部。
主人公である「先生」の経験したアクシデントをプレイヤーにも体感してもらうために、迫力重視の映像に仕上げました。

 

最初期バージョンのオープニングから、新たに姿が描き足されたキャラクターも。
角が生えてるホットフィックス隊員は、第一章でも言及される新米隊員くんの前任者。

余談ですが、この先輩隊員と中央に映っている更生対象は、それぞれ開発チーム内部で「コレエダ先輩」「豆腐マン」というあだ名で呼ばれています。
この直後、いろいろと大変なことに。

 

ゲームの冒頭を飾る特別なムービーなので、本編ではなかなか見られないアクションシーンなども盛り込まれています。
この隊長特殊部隊ジャンプは『頼む! お願いだから!! 俺は隊長が柵的なものをこう……こうやって飛び越えるところがどうしてもどうしても見たいんだ!!!!隊長は絶対に柵的なものをこう……飛ぶんだ!!!!』とホでヴさんに頼み倒して演出に入れ込んでもらいました。エヘヘ…………。

 

↑新しくオープニングムービーを編集するにあたっては、ホでヴの用意してくれた絵コンテを元に、必要素材の割り出しとアニメーション作成を行いました。
起きていることのわかりやすさを保ちつつ、キャラクターの個性も表現した演出になっていて、これを眺めただけでもかなりテンションが上がります!!

 

 

この新しいオープニングムービーですが、絵コンテと演出・作画監修等をホでヴが担当し、描き下ろしの素材作画はイラストレーターの小田ハルカさんにお願いしました。

そうです! 以前MINDHACKグッズのとっても可愛らしくキューテステステストなデフォルメイラストを担当してくださった、あの小田ハルカ先生です。

↑このキャラクターアートを使ったアクリルキーホルダーやクリアファイルは、こちらのBOOTHで販売中!

 

小田さんと紅狐は過去に何度もキャラクターアニメーションのお仕事でご一緒しており、特にキーフレームアニメーションに適したレイヤー構造・素材の分けかたなどに関して、抜群の信頼を寄せてお願いできました。
何より……

ご覧ください、この………

 

MINDHACKキャラクターへの圧倒的「わかり手」感……!!

最高だぜ……!!

 

 

そしてさらになんと、実は先週ご紹介した『更生対象の追加資料』のためのアートも、小田さんに描き下ろしていただいています。

施設の外では人々がどんな日常に囲まれて暮らしているのか、肌に感じられる雰囲気がありますね。
特に文字の部分は「読めそうで読めない」「読めないが、どのように書かれたか判別できる(たとえば手書きであるのか、機械で打たれたものなのか)」という要素を重視して描き分けていただきました。文字・記号フェチの私も大歓喜です。

 

さて、これはどこのカルトの教典でしょうか。
アーリーアクセス版ではよりバリエーションに富んだ資料をご覧いただけますので、こちらもお楽しみに!

 

そんなMINDHACK世界を彩る強力なサポーターである小田さんから、直々にコメントを寄せていただきました。

MINDHACKのファンガール、小田ハルカです。
OPムービーの新規作画および資料アートを描かせていただきました。
なんと嬉しくも責任重大なお話、恐悦至極に存じます。

ホでヴさんのキャラクターデザインはなんと言っても絶妙なバランスかつキュートな曲線が特徴的ですから、
そこをなるだけ寄せられるように気をつけました。

特にダントツで枚数の多かったレベッカ隊長はなかなか悩み甲斐があり、
装甲の重量感あるチョーカッコイイシルエットが潰れぬよう注意を払いましたが
やっぱり肩アーマーさんを御するのは大変でした!笑
とはいえあのゴツさでダイナミックにアクションなさるのは非常にクールですので、
そのあたりが表現できていればと思います。もちろん布のヒラみもだいすき。

とにかくキャラクターみんな描くこと自体がまずとても楽しく、
つい納期そっちのけでどこまでもこだわってしまいそうでした。

それから資料アート。
こちらはキャラクターや背景イラストとは違ったパズルや工作のような楽しさがありますね。
キャラクターたちとはやや異なるニュアンスですが、きちんとMINDHACK世界が香るように仕上げております。
こだわり…というか感慨ピックアップは、意外にも■■■で表現された文字列。
フィーリングで区切るとあと一歩文章に見えないもので、実際の文章を参考にしました。
こんな形でさえ人の目は微妙な違いを拾うものだなあ~

一通り、語らせていただきました。ありがとうございます。
楽しんでいただければ幸いです。
自分も進化した第一章はやく遊びたい!

-小田ハルカさんのSNSアカウント・webサイトはこちら
Twitter (https://twitter.com/aries_bug)
Tumblr (https://aries-bug.tumblr.com

 

小田さん、改めてありがとうございました!