♪ぴ~っぴろ~り~ ぴ~っぴろ~り~ ぴ~っぴろ~り~……
こ、この音は!!!
すきまトークのお時間です。
というわけで皆さま、こんばんは。月イチで公開中のおもしろ会話劇スピンオフ、「すきまトーク」はお楽しみいただいているでしょうか。本日も最新話が公開されましたね。まだご覧になっていない方は、要チェック!
ゲームの開発開始時から続いてきたすきまトークも、気づけば40話目。足掛け3年間、よう続けてきました。ところがこのすきまトーク、これまで決定的に欠けていたものがあった……それは! ローカライズだッ! ゲーム本編は日本語・英語があるのに、すきまトークには日本語しかない! このスピンオフもぜひ全世界の方にお届けしたい……!
ということで、今回もお願いしてきました。MINDHACKの翻訳といえば、岩﨑さんの登場だ―――ッ! 岩﨑さんは、フリーランスの日英翻訳者さんです。MINDHACKゲーム本編の翻訳もご担当いただき、世界観に寄り添った非常に、非常にクオリティの高い英訳を実現してくださっています。具体的なその職人技については、過去記事(1,2)で詳細にご紹介しているので、ぜひご覧ください。
そんな岩﨑さんに、すきまトークの翻訳をご依頼したところ、快く引き受けていただきました! 翻訳するなかでは、当然、日本語をそのまま英語に直しただけでは意味が通じにくい部分も。そこで今回は、すきまトーク翻訳でのさまざまな工夫をご紹介します。
まずはこちら。
・すきまトーク25
原文:
新米隊員
「あ、そうだ!明日から毎朝5時起きでラジオ体操しましょう!いいじゃないですか!運動で気分もサッパリ爽快ですよっ!!」
↓
英語版:
“Oh, that’s right! Let’s wake up at 5 AM and do some
yoga from tomorrow on! That’ll make us feel good!”
お気づきでしょうか? こちら、日本語版の「ラジオ体操」が英語版だと「朝ヨガ」になってます。ラジオ体操は英語圏で馴染みのない文化なので、グローバルに通じそうな朝活に変更していただきました。新米くんも毎朝、立木のポーズとかしてるのかもしれませんね。
・すきまトーク28
原文:
中堅隊員
「というと?」
こちら、中堅さんの口癖。そのまま英語にするのが難しかったので、いくつか候補を挙げていただきました。
①”Oh? Can you elaborate for me?”
「そう? 自分のために詳細を教えてくれる?」
②”…I see. Tell me more?”
「なるほどね。もっと教えて?」
③”…I’d love to hear more on that.”
「是非もっと詳しく聞かせてほしいね」
どれも悩ましい……のですが、②の「Tell me more?」に最終決定しました。口癖なので、コンパクトにまとまっているところがポイント。また、積極的に聞き出すというより、相手の話を引き出すような話しぶりが、物腰の柔らかな中堅さんにぴったりという結論に落ち着きました。
・すきまトーク19
こちら、まずは原文をご覧ください。
FORMAT:
「では、私が発注したものをもう一度読み上げましょう。まず最初に」
「家庭用花火セット5kg」
「何か問題がありましたか?」
「業務用落花生5kg」
「何か問題がありましたか?」
FORMATがお花の代わりに「花火」と「落花生」を注文してしまうというトンチキ話。しかし花火は英語でfireworks、落花生は英語でpeanutsなので、そのまま訳すとお花要素がなくなってしまい、ネタの意味が通じません。こちらを岩﨑さんがどう翻訳してくださったかというと……
“Well then, I will read aloud my list of orders.
First, we have…”
“5 kilograms of cauliflower.”
“Is there a problem?”
“5 kilograms of whole wheat flour.”
“Is there a problem?”
お分かりいただけましたか? 英語バージョンでFORMATが注文しているのは、「cauliflower(カリフラワー)」と「flour(フラワー=小麦粉)」。そう、英語の「flower(花)」とかかっているのだ! オリジナル版のシャレをスマートに英語へ変換してくださっているところに脱帽です。
・すきまトーク06
原文:
新米隊員
「先生も、ご用命あればお申し付けください!和洋中華なんでもいけます!」
↓
英語版:
“Doctor, please let me know if you ever want to go
somewhere! Meat, fish, vegetarian…You name it!”
オリジナル版では、新米くんが「和洋中華」と料理のさまざまなジャンルを並べているこちらの台詞。しかし、直訳してしまうと料理の種類というより、国籍としての意味合いが強くなってしまいます。そこで調整してもらったのが、「Meat, fish, vegetarian(肉、魚、ベジタリアン)」という案でした。具体的な国名は出さず、料理のジャンルを広げていただいています。岩﨑さんによると、
「新米隊員くんが幅広い種類の料理屋を知っているというセリフだと思いましたので、肉食・ベジタリアン・ペスカタリアン(魚介類は食べる菜食主義者)どれでも楽しめるところを知っているよ!というようなイメージでした。」
とのことです。さすがグルメ新米隊員! おにぎりばかり食ってるわけじゃないぜ! このほか、「 Sweet, spicy, sour…(甘い、スパイシー、すっぱい)」と味のジャンルで分ける案もありました。
・すきまトーク15
こちらもまずは原文から。
原文:
新米隊員
「きな粉とつぶあんたっぷりの手作りおはぎですよ!ぜひ先生もどうぞ!」
(中略)
「先生、こしあん派ですか!?すみません!!」
これはどう見ても翻訳に検討の必要ありですね。「手作りおはぎ」「こしあん(orつぶあん)」というネタは、日本以外では通じにくい文化です。そこで、岩﨑さんに英語圏でも通用するアイデアを考えていただきました。
すきまトーク15は「先生が手の汚れる食べ物を嫌がる」という展開がキモなので、まずは「手で触るとべたつくもの」が第一条件。くわえて、日本語版の手作りおはぎに通じるような、「田舎のおばあちゃんが作って出してくれそうなもの」。また「こしあんorつぶあん」のように、2派閥で分かれがちなおやつが望ましい……という、かなりワガママな要望に応えていただき、岩﨑さんに出していただいたのが下記の案。
①クッキー
手作りお菓子の代表格。とくに、おばあちゃんが作ってそうなイメージでいうと、「Snickerdoodle」というクッキーが挙げられるそうです。シナモンシュガーをまぶすので、手もばっちり汚れる代物。
②グラノーラバー
手で持ってベタベタするものといえば、こちら。簡単に手作りできるので、家庭的な雰囲気も併せ持っています。あえて派閥で分けるなら、「ピーナッツバターorハニーオーツ」といったところ。
③ワッフル(パンケーキ)
シロップで手がべたべたするのに加え、英語圏でデザートの派閥といえば「ワッフルorパンケーキ」に分かれるのが定番ネタだそうです。
ど、どれも捨てがたい~~~! この候補については全すきまトークで最も悩んだと言っても過言ではない……のですが、最終的に②のグラノーラバーになりました。やはり先生の手をべたべた汚したい気持ちが勝った。それはそうと、Snickerdoodleもいつか食べてみたいなあ。
英語版:
“They’re granola bars, homemade and made with
gooey peanut butter! Would you like one?”
“Doctor, are you more of a honey and oats
type of person!? I apologize!!”
このように、すきまトークの英語版を実現するには、岩﨑さんにさまざまなアイデアでご協力いただきました! 英語圏の方はもちろん、日本語ですきまトークを観てくださっている方も、ぜひ字幕をつけて見直してみてくださいね。現在、英語字幕が実装されているのはすきまトーク34まで。以降のローカライズもお楽しみに~!