不死身で常に飢えてる青年が世紀末をロボットと共に旅する話
世界は災厄によって終焉を迎えたが、人類は細々と、文明の残滓を食い漁って生き延びていた。
呪いによって不死の身体となった青年アレックスは、その代償として永久の飢えに苛まれている。
道案内の妖精ダイオゲネスとともに、彼は自らの呪いを解く旅を続ける……
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*この物語にはショッキングな表現が含まれています。
(暴力・流血の軽微な描写、カニバリズム、奇形化、欠損、監禁などの軽微な描写)
* この物語はフィクションです。登場する人物、団体、名称などは架空であり、実在のものとは関係ありません。
*この作品は様々なSF小説、ゲーム、映画などからインスピレーションを受けて執筆されました。
作中にオマージュや引用などが含まれています。
登場人物紹介
アレックス
アレキサンダーを縮めてアレックス。
あるきっかけで魔物の血を浴びて以来、呪いによって【不死なるもの】となった青年。
不死身の肉体を持つ代わりに常に空腹に苛まれ、お腹が空きすぎるとたびたび正気を失う。
好奇心が強く前向きな性格で、考える前にまずはなんでも齧ってみるタイプ。いつも腹ペコなので食べ物には目がなく、飲食を何よりも優先する。
自分の呪いを解くために荒廃した世界を旅している。外見は二十歳前後だが、実際の年齢は本人にもよくわからない。裸眼は光に弱く、廃墟で見つけた遮光ゴーグルをかけている。
ダイオゲネス
正式な型番はD10‐GNS、通称ダイオゲネス。あだ名は樽。
世界が平和だった頃に作られた道案内用のナビゲートロボット。科学と知性の文明を常に懐かしみ嘆く、マイナス思考で頑丈な機械。たまたまアレックスに拾われて以来、お供として同行している。
様々なことについて博識で、過去の世界の遺産について語るのが大好き。
残存している人工衛星に接続する機能を持っており、情報を司る衛星から古今東西様々な知識を引き出したり、軍事衛星からちょっとした砲撃を行うことができる。
自分が自我のある機械知性体であることに誇りを持っており、妖精と呼ばれるのを頑なに嫌う。
世界観
非常に科学の発達した文明が【災厄の日】に滅びた後の、未来の世界。
さまざまな要因による環境汚染は【呪い】と呼ばれ、かろうじて生き延びた生き物や人々に多大な影響を及ぼしている。
致命的な瘴気は地表全土に広がり、人類がまともに生存できる範囲はかつての15%にも満たない。怪物や野盗が跋扈する中、人々は各地に点々と集落を作って文明の残滓を漁り、互いに物資をやりとりしながら日々を凌いでいる。
科学文明の生み出した文化は災厄によって失われ、人々の使う言葉は混乱によって何世紀も巻き戻ってしまった。そのためここで生きる人々のやりとりでは、ファンタジーのような語彙が使われる。
-ZENITH-
連作短編小説集。アレックスとダイオゲネスの、始まりから終わりまでの物語。
上から順番にお読みください。
何もかも全て良し
全ての始まりの話
肉捌きの魔女
アレックスを育ててくれた人の話
ハンドルなきコースター
道案内の妖精と旅に出る話
不眠症
獲物を取って食う話
心配なんかこれっぽっちも
罠にかかる話(前後編の前編)
汝、人間なりや
酷い目に遭う話 ※ショッキングな描写にご注意ください (前後編の後編)
最後の挨拶
お別れの話
頂
願いを叶える話
この忌々しくも美しき世界
終着点、エピローグ
短編
ZENITHの間のどこかにあった旅の話
見知らぬ日の追憶
水族館と魚の話