不定期更新、『MINDHACK』楽曲紹介のコーナー! こちらの記事では、『MINDHACK』の楽曲制作をご担当いただいているトラックメイカー・小鉄昇一郎さんに、本作に収録された楽曲の紹介と解説をしていただいています。この記事を読めば、『MINDHACK』の音楽の世界がもっと分かるかも!?
サウンドトラックはこちらで販売中です。
ということで今回解説するのは、こちらの楽曲!
今週の1曲:REVEAL
・VODKAdemo?より
第3章でシノから、魔王の存在について知らされたときの楽曲です。明らかに恐ろしいことが起きる直前の、恐怖の予兆を示すシーン……といった仕上がり。なんだか不穏な空間で、そこにあってはならないものの空気を感じ取ってしまった、戦慄の走る瞬間を表現していただいています。80年代~90年代のSFホラー映画で流れそうな、不気味でありつつけばけばしくない、品の良い恐怖の煽り方がMINDHACKの世界観にぴったりですね。打楽器を使わず、ストリングスの不協和音で不安な気持ちを演出しているポイントにもご注目ください。
・小鉄さんより
これはコズミック・ホラー調、クトゥルフ神話的なイメージで作りました。
今聴くと、意図せずですが、自分の好きなサックス奏者で作曲家ジョン・ゾーンによる、架空のノワール/サスペンスのサントラという設定のアルバム『Deadly Weapons』に入ってる”Chen Pe’i Pe’i”という曲に似てますね。
「何を作っても結局、過去の何かに似てしまう」ということに苦しみを感じるタイプと、まったく感じないどころかニヤニヤしてしまうタイプと、クリエイターにも二種類いると思いますが、自分は断然後者です。歴史の流れの中に自分がいることが一番感じられる瞬間であり、何も嘆くことはありません。
ジョン・ゾーンはジャズや映画音楽、ユダヤ音楽(ユダヤ系の人なのです)から電子音楽まで何でもやる、本当の意味でジャンルレス、ボーダレスな人です。凌遅刑(かつてのアジアで行われていた残酷な処刑・「検索してはいけない言葉」でも有名)をテーマにしたハードコア・ジャズ、というようなとんでもない作品まで作ってるので、気になる人は検索してみてください。ううっ……という気持ちになれます。🔍Naked City – Leng Tch’e
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Kotetsu Shoichiro / 小鉄昇一郎
ミュージシャン/ライター。ラッパーへのトラック提供やCM音楽、ゲーム音楽など様々な媒体・プロジェクトで楽曲制作を行なっている。tofubeatsとの共演(Vibration feat.Kotetsu Shoichiro)や、ラッパーへの提供曲がビルボードチャート月間1位を獲得(T-STONE”Let’s Get Eat”)するなど、話題作への参加も多数。仕事の依頼はdjakutagawa@gmail.comまで
https://kotetsu-shoichiro.com/
@y0kotetsu