MINDHACK:ヒューゴのわくわく宇宙通信_02

やあ、みんな。パトリック・ヒューゴだよ。元気にしてたかな? 今日も皆に、宇宙のことや俺自身の話をしていこうと思うよ。さて、宇宙飛行士っていうと、必ず聞かれる質問がある。「どうして宇宙飛行士になろうと思ったんですか?」ってね。みんなそれぞれ、インタビュー向けの回答を用意してるけど、もちろん俺にだって理由がある。俺の場合は、子どものころの思い出が強く影響してるんだ。

俺みたいなシティボーイは、西海岸と東海岸、どっちの生まれだと思う? 正解はどっちでもない。いわゆるグレートプレーンズ……君も地理の授業で習ったことがあるだろ。肥沃な大地を埋めつくすトウモロコシ畑、バイソンがあくびをする広大な草原地帯。まあ言ってみればド田舎なんだ。だから少年たちの遊び相手ってのも、大自然が一番の友達ってことになる。そして特に俺が心惹かれたのは、頭上に広がる広大な星空だったんだ。

俺の親父が人生で最も賢い判断を下したのは、お袋と結婚したときと、パトリック少年にミード社の望遠鏡を買い与えたときだ。夜な夜な屋根裏部屋に上がって、オレオやリッツなんかをお供に、無限の星々を眺めるのが至福の時間だった。ラジオからは「ラブ・ミー・ドゥ」が流れていたけど、まだまだ子どもだった俺にとって、最も愛すべき恋人は宇宙そのものだったんだ。

それからもう一つ俺に深い影響を与えた存在がある。それが、綺羅星のようなSF小説たちだ。俺の一番のお気に入りは『星を継ぐもの』。刊行されたとき俺はハイティーンだったけど、もう頭をぶん殴られたような衝撃だった。ガニメデを歩くシーンの寂寥感ときたら、涙が出るような臨場感だったよ。そして同時に、宇宙への飽くなき探求心を持つ人類という生き物に誇りを感じた。そのときが、俺がまさしく宇宙飛行士を目指そうと決めた瞬間だったんだ。

ああ、でもトラウマティックという意味では、『2001年宇宙の旅』も深く心に刻まれてるな。近所に映画館なんかなかったから、キューブリックの映画版じゃなくてクラークの小説版を読んだんだけど、子どもにとっては哲学的なテーマが難しくて……それより怖かったのが、HAL9000だ。「将来、本当に機械が反乱を起こしたらどうしよう!」って、不安で眠れなくなるくらいだったよ。もっとも、実際にそういう未来が来るのは2001年よりずっと先になりそうだけどね。コンピューターが人間のように考えて喋るだなんて、現代の技術じゃあり得ないんだから。

今回の話はここまでだ。俺自身のことについて喋りすぎちゃったかな? 次回は皆が気になる、宇宙食事情について伝えるよ。チャンネルはそのまま!