MINDHACK:ヒューゴのわくわく宇宙通信_03

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やあ、操縦士のパトリック・ヒューゴだよ。

 

宇宙でも夢を見ることがあるんだ。ダスティンやサリー、ライアンにニールと一緒の夢だ。みんなで暖炉を囲んで、ロッキングチェアに腰掛けて。ケーキの取り分を決めるために、みんなでトランプを遊んでいる。ババ抜きで上がった順番に分け前がもらえるってわけ。でも、どうしてか俺のもとにばかりジョーカーが回ってくる。順繰りでカードを引いているのに、ジョーカーがどんどん増えていくんだ。みんな上がってしまって、1人、また1人と姿を消していく。最後に残されたのは俺1人。手元に残った4枚のジョーカー。永久に上がれないババ抜き。

 

宇宙でも夢を見ることがあるんだ。アメリカに残してきた妻のサラと、双子のミアとデイジーの夢だ。海のそば、白い屋根の2階建ての家で。3人とも俺の帰りを待ちながら暮らしている。それを俺は上から見てるんだ。ドールハウスを見下ろすような俯瞰視点でさ。本当は手を伸ばして、手のひらで3人を包み込みたかった。頬ずりしてやりたかったんだ。でもそれだけはできない。どうしても。この手を伸ばすことだけはしちゃいけないんだ。視界に自分の腕が入ってきた途端、取り返しのつかないことに気付いてしまう気がして。

 

宇宙でも夢を見ることがあるんだ。最近は決まって同じ夢。何度も繰り返し見る、エルメス号で独りぼっちの夢だ。船の酸素タンクが破損してしまって、修理のために船外活動服をまとって外に出る。破損個所はすぐに見つかって、修繕も間もなく終わる。でもそのとき、背中が何だかむずむずっとするんだ。ヘルメットのせいで後ろは向けないから、代わりに袖につけられた鏡で後方を確認する。何ということだろう、船外活動服の背中が破れているじゃないか! そして、その裂け目が……裂け目が……裂け目が。

 

次回のメッセージもお楽しみに。チャンネルはそのまま!