月: 2022年6月

開発日記 6/25

こんにちは。ホでヴです。
第二章に出てくる更生対象、イーヴリッグの素材が全部上がりました!やった~~
ナイス・ザ・グレート・マウンテン


よう動くやっちゃ。
彼は、普通に話してるだけなのにめちゃめちゃ暴れるので沢山描きました。
ハック時の立ち絵はまだ一度も出していないので、本編の方で是非見て頂ければと思います。

では素材の上がり切りを記念して、本編では出てこないイーヴリッグの秘密を大公開!!!!

「後ろ側」

『神の家具になる』という教義に基づいた、信者の階級を表す羽織。
後ろ姿は見せる機会がないのでこれを機に。
襟が四本なのは机やキャビネットの足をイメージしてます。
家具の種類によって羽織の形が変わります。

 

「素足」

手と同じで足先が茶色になっています。

 

「体がもふもふしている」

彼はよく体にバリカンをかけています。キャビネットなので。
ふわふわのキャビネットも悪くないと思いますけど。
本人が嫌なら仕方がないですね……

 

引き続き頑張ります!!!

MINDHACK:あなたの破壊衝動はどこから?③

ごきげんよう、ササン三です。MINDHACKではフレーバーテキストを書いたり、足りないところにニュルッと入って作業をしたりしています。

ここ数週間、紅狐やホでヴやシノが「破壊衝動とは何ぞや」について語ってきたので、バグという概念がうっすら浸透してきたのではないでしょうか。もしかしたら、身に覚えのある方もいらっしゃったかもしれませんね。そういった流れで、今回はわたしの身の上話になります。

小学生のころ、それは大好きなブログがありました。知的かつウィットに富んだ文章を書く方で、日々更新される記事を毎日楽しみにしていました。その方は一次創作の小説も書かれていて、一つも余すことなく読み尽くしました。特にその人の書く「人工知能」という概念が最高にクールで、美しいものに対する飽くなき理想を貫く姿勢に強く胸を打たれました。綺麗に組み上げたジェンガを木っ端微塵に打ち砕くような作品を書くのが好きな人でした。

これが紅狐です。

中学生のころ、素晴らしい絵を描く方に出会いました。その方の絵は構図がバシバシに決まっていて、なおかつ可愛くも格好いい。とくに人外キャラクターを描くにあたっては右に出る者がなく、親しみやすくも人ならざる存在を描くのが巧みな方でした。自身の創作キャラクターで漫画も描いていて、ほかにない哲学とユーモアで唯一無二の作品世界を作り上げていました。愛をもってキャラクターをいじめるのが好きな人でした。

これがホでヴです。

というわけで、何の因果か思春期に尊敬していたクリエイターの二人と肩を並べて、ゲームを作ることになってしまいました。幸運なことですね。今でも二人のことは最大限にリスペクトしています。

で、紅狐は自身を天性の悪人と謳ってやまない大魔王、ホでヴはキャラクターを痛めつけるのを愛する極悪アニメーター。そんな二人の作品に感性を育まれて、わたしも立派に破壊衝動を抱いて……いるかというと、実はそうでもないんですよね。基本的にはギャグとハッピーエンドが好みだし、一番好きなのは爆発オチ。キャラクターには極力幸せになってほしいと願っています。

ただ、ちょっと破壊衝動かも?と思い当たらない節がないわけでもなく。大学生のころ、ラヴクラフトにハマったんですよね。御大の小説といえば、迫り来る恐怖! 大いなる宇宙的存在! なす術なく振り回される人類!! この道を通って、ちょっとだけ「人がひどい目に遭う話」が好きになった気がします。特に、ヒロイックではない「一般人」が大変な目に遭うのが好きです。これまでの人生でそれなりに幸も不幸もあって、劇的なことは何も起こってこなかったような人が、突然理不尽な目に遭うさまを愛情深く眺めるのが、いいなあと思います。一般人が頑張ってるところ、大好き。

そんな理由で、拙作『灯影の悪魔』ではごく平凡な人間が主人公だったりします。また私が担当する『MINDHACK』内のフレーバーテキストも、「一般人が更生対象やマインドハック施設を見たらどう捉えるのか?」テーマに書いていたりします。

こんなところでしょうか。ささやかな破壊衝動の話でしたが、こういうのほほんとしたメンバーも開発チームにいることで、MINDHACKがどうなっていくか見守っていただけると幸いです。では。

MINDHACK:あなたの破壊衝動はどこから?②

【あなたの破壊衝動はどこから?】

こんにちは。ホでヴです。絵を描いたり、お話や演出の細かいところにツッコミを入れたりしています。
紅狐さんもササンさんもとても真摯に対応してくれて頭が上がりません。地面へめり込む毎日です。

MINDHACKというゲームを作る上で欠かせないのが『バグ』という名の破壊衝動。
私自身、破壊衝動の持ち主であり、社会生活において苦しんできました。苦い思い出が沢山あります。
そんなどうしようもない感情の根源はどこから来たのか……
過去に潜ってみましょう。

遡るは小学生。低学年。
この世の薄暗さをまだ知らず、キラキラした純粋なる子供でした。
親の友達のおじさんに「ホでヴはアニメや漫画が好きだよね。じゃあ映画を見に行こう!」と誘われて喜々としてついていった先で見せられたのがイジー・トルンカの『手』(THE HAND)。
この作品は彼の遺作であり、社会主義国家へ向かっていたチェコスロヴァキアへの強い気持ちが込められた作品になります。
内容を要約すると、主人公が社会主義を象徴する「手」のキャラクターに翻弄され、身も心もボロボロになり、最終的に亡くなってしまうというもの。
(どんな作品か気になる方はぜひ『イジー・トルンカ 手』で調べてみてください。)

 

おじさん!!キラキラのアニメしか知らなかった私には刺激が強すぎたよ!!

そういう子供に「アニメが好きだよね」って言って見せるならもうちょっとこう……なんかあるだろ!!!

いやいやいや、大切なのは分かるんですよ。世界情勢とその真っ黒な歴史。いつかは知らなければなりません。
作品の趣向、意図については深く考えさせられました。
社会主義国家に向かいつつある国に対して警笛を鳴らす内容だとも受け止めております。
子供心にグッサリ刺さりまして、トラウマの経験となりました。そりゃそうだろ。

その傷は癒えることなく……化膿し……
すっかり人外を痛めつけるのが大好きな変態が仕上がりました。

なんでだよ。

そして、感性の方向性にトドメを刺された作品が『星のカービィ2』。
私はダークマターが大好きでした。でも、奴はラスボスです。倒さねばなりません。
『星のカービィ3』でも『星のカービィ64』でもダークマター族は倒さなければならない存在でした。

そう。私は「大好きなもの」を「おくたばりございませ」させなければならなかったのです。
(KOROしたいと言うと物騒なので全て「おくたばり」で表現させて頂きます)
その行動を何度も繰り返す内、「大好きなもの」を「おくたばらせたい」気持ちがどんどん大きくなっていきました。
私がキャラクターをバチボコに苦しめて、ブッおくたばらせるのは「そのキャラクターの事が大好きだから」なのです……

私は、表情も声もないのに考えていることや感情がビシビシ伝わってくる「無機質なキャラクター」に夢中になり、かつそれを精神的にも肉体的にもボコボコにする事が大好きな人間になってしまいました。
そいつの事が「憎い」からではありません。「愛しさ」故にです。

この感性は長く私を苦しめました。
でも、今こうして「その感性でもいい」と言って貰える環境ができて本当に幸せです。
紅狐さん、ササンさん、本当にありがとう。

しかし、そうとは言っても作品を作る上で大切に感じているのはキャラクターは私の欲を満たす道具ではない事。
彼らには人生があります。その生き様を無下にして、痛めつけるわけにはいきません。
痛みは、生きている先の道で出会う出来事の一つであって欲しい。
そこは大切にしていきたいと常に思っています。

ゲームにおいての破壊衝動は『人格のエラー』であり『あってはならないもの』でありますが、
作っている側は必ずしもそれを『悪いもの』だと捉えて作っているわけではありません。
少し歪んだその愛のカタチが存在してはいけない世界なら、どんなことになっていくのか?
その愛をぶつける事によって何が起こっていくのか?

これからもMINDHACKは更生対象たちを「愛して」いくでしょう。
プレイヤーのみなさんはその愛についてどう思われるでしょうか?

それではまた。

MINDHACK:あなたの破壊衝動はどこから?①

2021年6月に第一章の体験版を配信開始してから、早くも一年。
初めてのゲーム開発にもかかわらず、大変多くの方々に応援していただき、改めて感謝の限りです!
日頃の開発の様子をお見せする中で、登場するキャラクターたち一人一人の個性を楽しんでいただけているのが何よりもありがたく感じます。
開発チームVODKAdemo?自身も、MINDHACKという創作作品を楽しみながら制作を進めております。日々ゆっくりの進捗ではありますが、お披露目できる日を目指して少しずつ開発しておりますので、どうか今後も気長にお待ちいただければ幸いです。

いつもBlogを読んでくださる方も、初めてご覧いただいた方も、本当にありがとうございます!

 

↑この可愛い絵はササン三さん作!

 

 


 

【あなたの破壊衝動はどこから?】

MINDHACKの物語の中で重要なキーワードとなる『バグ』。人の心の中にある、利己的な理由から何かを破壊したい・何かが壊れる姿を見たいという衝動のこと。
このお話の世界では様々な要因から『あってはならないもの』『人格のエラー』とされ、マインドハック処置によって必ず取り除かれるべきものとみなされています。

ところが実際、私たちの暮らしている現実世界においても破壊衝動は存在しています。
抽象的で目に見えない、人にも説明し難い、友達との日常会話で「なんかこう、そういう事思う時ってあるよね」とふと話題に上るような曖昧なもの。MINDHACKという作品では、この衝動を具体的に描くことを試みています。

先日3週にわたってシノちゃんが『破壊衝動とは何か』を説明してくれたので、今回はVODKAdemo?メンバーが抱く破壊衝動とその根源についてご紹介いたします。

 


 

今回はわたくし紅狐です。お話全体の筋立てや、設定とかを決めています。

小さい頃からAIのキャラクターがめちゃめちゃ好きで、AIを扱った話を探して、いろいろなSF小説を読んできました。
SFとはサイエンス・フィクション、つまり現実世界の延長線上に、いかに説得力のある空想を織り交ぜるかが要。これを選り好んで読んできた経験が今の創作に活きているなあと感じています。

そもそもSF好きになったきっかけは、ある一冊の本でした。
子供の頃、実家の近所の古本屋で「なんか好きな本一冊選びなよ」「えー、じゃあこれにする」くらいの軽いノリでお母さんに買ってもらった、レイ・ブラッドベリの『火星年代記』。

この本は、人類が月に行くよりももっと前に書かれたお話です。火星には優雅で美麗な文明を持って暮らす先住民がいたが、そこへ地球からやってきた開拓者が古いものを追いやり、自分たちの新たな街に作り替えていく……という物語。

ブラッドベリはSFという方法を使って空想の情緒を描いた人で、連作の短編小説という形もあって、どこかおとぎ話のような雰囲気があります。
この本で書かれているのは人間とその文明の進歩について。
時に愚かで、時に滑稽で、時々信じられないほど勇敢で、たまに取り返しのつかないことをしでかして、でもそんな姿に何故か愛着を抱かせてしまう人たち。そしてその人たちによって失われてしまった美しい儚いもの。そういう存在のことが愛を込めて描かれています。

人が自分たちの良かれと願ったことで自ら破滅していく姿……に愛しさを覚え、
途方もない時間をかけて築き上げられてきた美しいものが、パッと瞬きをするような間に、とてつもなく些細なことで永久に失われてしまう姿……に儚い背徳の甘美を感じ、
何もかも壊れてしまって虚無だけが残ったあと、それでも人々が前に向かって進もうとする姿……に自分もこうでありたいと希望を見る。

火星年代記はそういう感性を私に与えてくれました。MINDHACKに限らず、自分の書く全てのお話がこうであったらいいなあと願っています。

特に私がこの物語の中で狂おしいほど好きなのが『優しく雨ぞ降りしきる』というお話。
朝には勝手にトーストや目玉焼きやカリカリのベーコンが食卓に並び、夜になれば家主のためにお好みの詩を唱え始める、すてきなスマートハウスのお話です。でもこのお話が始まる時点では、ここに住んでいた人間は既に姿を消しています。

人が作った理想の象徴である家は、理想の世界を実現するために、それを求めている人不在のまま全てを滞りなく進めていきます。小説を読んでる側はただただそこで起きていることを眺め、もう誰にも何の意味もなくなった完璧なシステムが勝手に動いて、そして最後には破滅していくさまを見守ることしかできない……そのラストシーンは、子供心に「美しいものが壊れるさまは特に美しい」と気づいてしまった瞬間でした。
うちのお母さんもまさか我が子がこんな魔王みたいな事言い出すとは思ってなかったと思います。

私がお話を描く際、最も大事にしたいと思っているのはこの魔王みたいな感情、「一番美しいものを壊したい」という衝動です。
決して奪われてほしくない、失ったら二度と戻らないものが失われるその瞬間こそ、その存在が輝いて見えるのではないか。
そして読み手にそう感じてもらうためには、それがそこに存在しているというリアリティと、愛してもらうためのアイデンティティが重要。そうして日々、それらを壊す瞬間のために空想の世界を積み上げています。

つまり破壊衝動こそが私の創作の源!
ジェンガの崩れる瞬間を最大級に楽しんでもらうために、今日も元気にがんばります。紅狐でした。