月: 2024年3月

MINDHACK : 楽曲紹介12 / THE ARTIFICIAL HUMANITARIAN

不定期更新、『MINDHACK』楽曲紹介のコーナー! こちらの記事では、『MINDHACK』の楽曲制作をご担当いただいているトラックメイカー・小鉄昇一郎さんに、本作に収録された楽曲の紹介と解説をしていただいています。この記事を読めば、『MINDHACK』の音楽の世界がもっと分かるかも!?

サウンドトラックはこちらで販売中です。

ということで今回解説するのは、こちらの楽曲!

今週の1曲:THE ARTIFICIAL HUMANITARIAN

 

・VODKAdemo?より

みなさまお気づきかと思いますが、FORMATのテーマと対になっている楽曲です。聴き比べると、共通したフレーズが分かるはず。出だしはあえて不穏な曲調にしてもらい、「地下室で謎のロボットと出会ったぞ!」という緊張感を演出しました(といっても、第4章以前からCOM_Zを知っている人も多かったかも?)。曲が盛り上がるパートにかけては、ポップでゴキゲンな親しみをもてる質感になっています。しかしポイントは、生物感が皆無であること。感情豊かに聞こえる楽曲ですが、よくよく聴くと人工音しかない無機質さにも注目していただきたいトラックです。

それはそうと、3月31日はCOM_Zの自称誕生日だそうです。おめでとう!

・小鉄さんより

設定資料などの棒立ちの状態だと謎めいた、いざ動き出すとコミカルな印象のあるCOM_Zらしい曲の展開でいいんじゃないでしょうか。よく聴くと『FORMAT』のアレンジになってるという。ファミコン~ゲームボーイの頃の『星のカービィ』のようなピコピコした響きですね。『カービィ』の曲はわりとハネるように軽快なリズムの曲調が多いですが、COM_Zのテーマはコミカルな雰囲気もありつつリズム自体は角ばってハネてないフィーリングで、マシーンらしさを出しています。

ちなみに自分が『カービィ』シリーズで好きな曲は、スーパーデラックスの『マシュマロ城』『セーブ小屋』と3の『Music Test』です。ゲーム音楽って思い出補正がめちゃくちゃデカいけど、この3曲は普通に今聴いてもカッコいいな~と思います。どれもちょっとブラック・コンテンポラリーというかジャズっぽい雰囲気があるのが、子ども心に「何か、他の曲と雰囲気違うな~」と思ったのかも知れない。マニアックなことやってても「よくわかんないけど、いいな」と思ってもらえるような作品が作りたいですな。

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Kotetsu Shoichiro / 小鉄昇一郎

ミュージシャン/ライター。ラッパーへのトラック提供やCM音楽、ゲーム音楽など様々な媒体・プロジェクトで楽曲制作を行なっている。tofubeatsとの共演(Vibration feat.Kotetsu Shoichiro)や、ラッパーへの提供曲がビルボードチャート月間1位を獲得(T-STONE”Let’s Get Eat”)するなど、話題作への参加も多数。仕事の依頼はdjakutagawa@gmail.comまで

https://kotetsu-shoichiro.com/
@y0kotetsu

 

【小鉄さんの過去の楽曲解説】
THE OFFICE(オフィスのテーマ)HAPPY HACKING(ハック中のテーマ)SOFTENED SPIKE(ウニを丸めたテーマ)MINDHACK(記憶のテーマ)THE STAIRS(タイトル画面のテーマ)THE ARTIFICIAL PLACENTA(FORMATのテーマ)

READY TO TASK(ホットフィックスのテーマ)

FAR FROM CITY LIGHT(ユーニッドのテーマ)

GREETINGS, BUTTER KNIFE…(イーヴリッグのテーマ)

IF THOU ART HUMAN(シノのテーマ)

HA HA HA(第3章ハック中のテーマ)

 

MINDHACK:あるグラフィックデザイナーの仕事

【あるグラフィックデザイナーのもとに、一通の依頼メールが届いた】

 

 

はじめまして。インターネットにUPされていたあなたのグラフィックデザインを拝見しご連絡しました。
今回、世のため人のためにぜひデザインをお願いしたいものがあるのですが、お願いできますでしょうか? もちろんお礼はお支払いいたします。よろしくお願いいたします。

 

まず、真っ黒な夜の闇の中に、つまらない感じで雪が降っている画像をお願いします。

 

そして、人々にメッセージを伝えるため、雪景色の画像に、文字を入れてください。
これは、闇と雪の中に閉ざされた人々を照らして啓蒙し輝くメッセージなので、白で書いてください。

 

混じり気のない塗料のような白ですね! 気に入りました!
これは神のメッセージなので、有機の子らにも親しみやすいフォントにしてください。

 

すみません、神のメッセージなので、やっぱりもっと荘厳でかっこいい感じにしてください。

 

 

神の荘厳さが出ていてすごくかっこいいです! できればもう少し無機っぽくできますか?

 

美しい! 神もこのような無機を望まれます!

 

 

今、すごくいい感じなのですが、できればもう少し人々に救いを伝えたいです。

 

ちょっと考えていたのですが、神の教えをより広めるためには、よりグローバルな展開を考える必要があると思います。

 

それから、今のこの文言は経典に書かれた信者のための教えです。まだ無機から遠い人たちのために、もっと金槌で釘を打たれるような衝撃、かつ、救いを身近に感じられるエピソードが必要かもしれないと思いました。

 

あと、今は文字だけなのですが、家具の画像があったらよりLAGOM神の偉大さがダイレクトに伝わって、いいと思いました。

 

今、メールで追加の素材を送ったので、これも使ってもらえますか? そして、都会っぽくてかっこいい感じにしてください。

 

添付ファイル:
Kakkoii_sozai.zip

 

 

 

 

 

いいですね! すごくいいと思います! この方向性でもう数パターン見せてもらえますか?

 

あと、もっと縦に大きいサイズにしてほしくて……

 

さらにかっこよくしたいので、文字は赤くしてほしくて…… 

 

全体的に、よりオシャレで洗練された感じに……

 

それからああして……こうして……

 

…………

 

 

 

 

 

~半月後~

 

 

 

いいですね!! すごくオシャレさがあって、いいと思います!

 

これで完成にしてください。ありがとうございました。
この画像は祈りの会で着るTシャツにします。

 

 

 

 

通販 ∞ SUZURI(スズリ)

 

 

なんか、無事シャツになったみたいです。よかったですね。

MINDHACK:第4章ミニアップデート・ヒント集

2024年3月15日、MINDHACK第4章のミニアップデートが行われました!
ゲーム本体をすでにお持ちのかたにはお楽しみいただけているでしょうか?
Steamではただいま春のセールも実施中。この機会にぜひMINDHACKをよろしくお願いいたします!

 

 

また、サウンドトラックにも第4章で聞ける3つの楽曲が追加されています。これらの楽曲についても、後日ブログでご紹介していく予定です!

 


 

 

さて、以前COM_Zが自分で紹介してくれた通り、今回のミニアップデートでは4章のミニゲームに隠し要素が追加されています。

 

このこれ。ここに特別なキーワードを入力すると、隠し反応が見られるよ。

キーワードは英語か、日本語ローマ字の単語または言葉となっています。アルファベットで入力してくださいね。

 

とは言っても「特別なキーワード」って一体何なの? そこで本日は50個ある隠しキーワードのうち、いくつかのヒントをご紹介いたします。

 

 

※キーワードのネタバレ記事となります。自力で見つけたいかたはご注意ください!

なお、今回のミニアップデート前から存在する3つと、ストーリー進行上必須のキーワードは、「50個」のうちに含まれておりません。

 

 

 

挨拶してみよう

 

誰かと仲良くなるためには、まずは元気な挨拶から。COM_Zは高性能ロボットなので、おはようからおやすみまで幅広い時間帯のご挨拶に対応しています。

 

 

知ってる人の名前を聞いてみよう

COM_Zはマインドハッカーと関わりの深いロボット。天才マインドハッカーとして、身の回りで付き合いのある人たちの名前を挙げてみましょう。これまでハックしてきた更生対象のことにも興味があるかもしれませんね。

 

 

COM_Zの思い出を聞いてみよう

マインドハック施設で出会う前、COM_Z自身にも誰かと付き合いがあったみたいです。印象的な出来事やキーワードを入力すると、思い出を教えてくれるかも。

 

 

第一印象を言ってみよう

COM_Zはみんなのアイドルを目指しています。人間から見た印象を素直に教えてあげましょう。褒めてもいいし、怖がったりしてもいい。

 

 

いい子ちゃんじゃないキミにも

「心を持った機械」であるCOM_Z。つらい気持ちや、厳しい言葉もしっかり受け止めてくれます。
天才マインドハッカーにあるまじき、ちょっとやんちゃな言葉で煽ってみたり……

子供っぽいキタナイ言葉を言うと、怒られることも。

 

 

 

秘密のメッセージ

あのアレは、「.」なしで打ち込んでみてね。

 


 

今回のアップデートで追加されるのは、あくまでも「イースターエッグ(隠し要素)」。
これを全部見つけたから物語の結末が変わる! というようなことはありません。ゲーム本編の展開には影響しないけれど、よりCOM_Zに対する理解を深めることができます。ぜひぜひいろんなキーワードを試してみてくださいね!

MINDHACK : 楽曲紹介11 / HAHAHA

不定期更新、『MINDHACK』楽曲紹介のコーナー! こちらの記事では、『MINDHACK』の楽曲制作をご担当いただいているトラックメイカー・小鉄昇一郎さんに、本作に収録された楽曲の紹介と解説をしていただいています。この記事を読めば、『MINDHACK』の音楽の世界がもっと分かるかも!?

サウンドトラックはこちらで販売中です。

ということで今回解説するのは、こちらの楽曲!

今週の1曲:HA HA HA

 

・VODKAdemo?より

第3章のクライマックスで流れる楽曲です。2ndトレイラーでも使用されたので、記憶に残っている人もいるかもしれませんね。やけに耳に残るメロディと、「ハッハー!」という楽しげな声が印象的です。楽曲の発注時には、「マインドハック処置中の、奇妙で明るいが不気味な雰囲気の曲」という内容で制作をお願いしています。そこで行われている行為は、自分を含めて周囲の全員が正義と信じ切っている。でも実際に考えてみると……? といった、危うさのようなものを表現していただきました。

実はこのオーダーに対し、小鉄さんはデモ楽曲を3曲もご用意してくださりました。その音源がどれも素晴らしく、開発チームは散々迷った末このバージョンに決定! ……しきれずに、実はそのときの音源をもう1曲作中に採用しています。そんな双子的存在の楽曲も今後ブログで紹介予定なので、お楽しみに。

・小鉄さんより

神経に直接、ロボットのアームやレーザーが触れてくるようなイヤ~な圧迫感、インダストリアルな響きに、音階だけ抜き取れば割と朗らかで、行進曲を口笛で吹いてるような明るいメロディーが鳴ってる……という、ミスマッチで居心地悪い感じが、MINDHACKの世界観に合っていてよろしいんじゃないでしょうか。

ちなみに「ハッ!ハッ!」という声は”Girl Crush K-Pop Vocals”というサンプルパック(定額制で自由にサンプリングできるライセンスフリーの音源集)に入っていて、K-Popの中でも、可愛らしいアイドルらしいアイドルではなく、力強いクールな印象のスタイルを指してGirl Crushと呼ぶようですが(NewJeansとかTWICEではなく、BLACKPINKとかITZY。と言えばニュアンスが伝わるでしょうか)そういったグループの雰囲気をイメージして作られた音源のようです。が、これを作った人も「悪人の脳みそをハッキングして更生させるゲームの、そのハッキングの最中にかかる曲」で使われるという想定は、多分してないでしょう。

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Kotetsu Shoichiro / 小鉄昇一郎

ミュージシャン/ライター。ラッパーへのトラック提供やCM音楽、ゲーム音楽など様々な媒体・プロジェクトで楽曲制作を行なっている。tofubeatsとの共演(Vibration feat.Kotetsu Shoichiro)や、ラッパーへの提供曲がビルボードチャート月間1位を獲得(T-STONE”Let’s Get Eat”)するなど、話題作への参加も多数。仕事の依頼はdjakutagawa@gmail.comまで

https://kotetsu-shoichiro.com/
@y0kotetsu

 

【小鉄さんの過去の楽曲解説】

THE OFFICE(オフィスのテーマ)

HAPPY HACKING(ハック中のテーマ)

SOFTENED SPIKE(ウニを丸めたテーマ)

MINDHACK(記憶のテーマ)

THE STAIRS(タイトル画面のテーマ)

THE ARTIFICIAL PLACENTA(FORMATのテーマ)

READY TO TASK(ホットフィックスのテーマ)

FAR FROM CITY LIGHT(ユーニッドのテーマ)

GREETINGS, BUTTER KNIFE…(イーヴリッグのテーマ)

IF THOU ART HUMAN(シノのテーマ)

MINDHACK : 多言語対応のひみつ

先日お伝えした、春のミニアップデート。COM_Zの自由入力パートにおける隠し会話が、大幅に増える予定です! すでに日本語原文のテキストは出来上がっており、現在は多言語対応に向けた最後の仕上げ中。ゲームに実装されるまで、もう少しお待ちくださいね!

 

しかし、楽しみに待ってくださっている皆様のなかには、こうお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。「翻訳した文章をゲームに入れるだけで、どうしてそんなに時間がかかるの?」と……。

実は!
ゲームに翻訳を組み込むのはめっちゃ大変なのである!!

ということで今回は、MINDHACKの多言語対応のプロセスをちらりとご紹介します。

 

1. 英語翻訳

まず日本語のテキストが確定した時点で、日英翻訳者の方に原稿をお送りします。MINDHACKで日本語から英語への翻訳を担当してくださっているのは、当ブログでもたびたび登場していただいている岩﨑さん! 日本語原文の意図を丁寧に読み解きながら、英語に翻訳していただいています。感謝に堪えません!

そして、待ちに待った岩﨑さんからの英語翻訳が届いた! さっそくゲームに英語を実装できるね! …….というわけでは、ないのだ!

 

2. 英語クエリー

ここからが翻訳の重要なパート。岩﨑さんと「クエリー」のやり取りが行われます。クエリーとは何ぞや? こちらは、要するに岩﨑さんと開発チームの間での質問のやり取りを指します。岩﨑さんが翻訳を進めていく際、細かなニュアンスの違いなどをより正確に翻訳するため、さまざまな質問を開発チームに送ってくださります。

たとえば、第2章のイーヴリッグの台詞を翻訳するときのやりとり。

岩﨑さん:
イーヴリッグの「ふふん」「フ。」などの笑い方についてですが、
英語では主に”Ha”やその亜種みたいな笑い方しかありません。なのでここでは少し上から目線やバカにしている時の”Hah”を使いました。
また、もし「ふふん」において「ふふ」より「ふん」要素の方が強かったら”Hmph”の方が適切かもしれません。いかがでしょうか?

開発チーム:
イーヴリッグの「ふふん」「フ。」「フン……」などはすべて相手より自分のほうが優れていることを主張している「上から目線でバカにしている物言い」のものなので、Hah がぴったりかと思います!

このようなやり取りを通して、英語版のイーヴリッグも絶妙に小憎らしい態度が実現されているわけです。翻訳のクエリーは、MINDHACKの世界観やキャラクター性を他言語でも表現するうえでとっても重要なプロセスなんですね!

そして岩﨑さんとのやり取りを終え、英語原稿が完成すると……

3. 簡体字・繁体字・韓国語への翻訳、クエリー

英語原稿を海外の翻訳会社、Inlingoさんに送付し、3言語への翻訳をお願いします。このあたりは、ゲームによって異なるプロセスかもしれませんね。日本語原稿から直接3言語へ翻訳する……ということも可能かもしれませんが、MINDHACKチームは台北ゲームショウのときからお世話になっているInlingoさんにお願いしているかたちです。(翻訳当時のこぼれ話はこちら

Inlingoさんとの意思疎通は、開発チームのつたない英語を通して行われます。たどたどしいメールの文章から我々の意図を汲み取っていただき、Inlingoさんには本当に頭が上がりません……。

一度、我々が完全に意図を誤って伝えてしまったことも。第2章で新米隊員が隊長の弁当の申し出を固辞する際、「あと、この弁当はもらえません。いただきます!」という翻訳になってしまう事故が発生しました。食うなよ。

*正しいセリフは「俺、走って飯買ってきます!」

 

数々の困難を乗り越え、簡体字・繫体字・韓国語の翻訳原稿が完成。そして、ついに……!

4.LQA

まだ完成しないのである!!

LQA、ここが多言語対応の実現における要といっていいでしょう。LQAってなあに? それは、「Language Quality Assuarance」の略。日本語で訳すとしたら、「言語品質保証」といったところでしょうか。ざっくり言ってしまうと、「言語に限ったデバッグ作業」のようなものです。LQAの期間は、あらかじめ3日~1週間程度を設定。この限られた日数のなかで、LQAの企業の方がみっっっっちりMINDHACKを遊びつくし、翻訳のなかでおかしな部分がないか確認してくださります。そして、開発スタッフは期間中はPCの前に貼りつき、LQAの方から質問が送られてきたら回答し……修正があれば反映して送り返し……の繰り返し!

もちろん、岩﨑さんやInlingoさんとは可能な限り自然な翻訳になるように最善を尽くしているものの…….やはり、第三者の目が入ると、いろいろな修正箇所が見つかるのだ! 「もっとこういう言い回しの方が自然です」「こちらの方が原文の意味に合っています」など、さまざまな提案をいただけるLQA。このプロセスがなければ、MINDHACKの多言語対応は崩壊していたといっても過言ではありません。

このハードなLQAを乗り越えることで、ようやく……

5. 多言語実装

5つの言語がゲームに実装されるのだ! なお、すべての言語のテキストは開発スタッフが手打ちでゲームに組み込んでいます。温かみのある翻訳ですね。

 

このように、ひとくちに「翻訳を追加する」といってもさまざまな工程がある多言語実装。気になる春のミニアップデートについては、現在「ラストスパートです」とお伝えしておきます! 詳細なアップデート日程は当ブログやX(旧Twitter)にてお知らせしていくので、どうぞお楽しみに~!