MINDHACK: 第5章ラストシーン演出

皆さんこんにちは。MINDHACK開発チーム・シナリオとか技術とか諸々担当の紅狐です。
本日のブログにもMINDHACK第5章のネタバレがたっぷり含まれております。
含まれているどころか第5章ラストシーンの演出についてのお話になるため、未プレイのかたは何卒ご注意ください。

ネタバレ大注意!

 

 

MINDHACKの作中視点は、主人公である「先生」のもの。
常に左右の手が映り込み、画面=プレイヤー=先生の視界、という大前提があります。いわゆるファーストパーソン(一人称)視点というやつです。

さて、第5章を開発している間、シナリオを書きつつ演出実装を担当している紅狐にはひとつ気がかりなことがありました。
まずは第5章後半の脚本最終稿をご覧ください。

・(選択肢終わり)
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たぶんここからムービーのカットシーン。
(ヒューゴ、こっちに向かって走ってくる)

隊長
「先生!!」

隊長に壁際に押しのけられる先生。
その横をものすごい勢いですり抜けていくヒューゴ。
かっさらわれるユーニッド。

ヒューゴ
「シューーーーー
ーーーーーッッッ
ッッ!!!!!!」

ユーニッド
「うわっ!?」

ヒューゴの動きを追って、カメラが廊下の反対側に振られる。
新米隊員の横顔が視界に映る。

新米隊員
「ユーニッド!!」

カメラ、廊下の奥を見ると……

ユーニッドがヒューゴをがっちり捕まえている。
カットシーンここまで。

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すごいアクションシーンだ。自分で話書いといてなんだけど、大変だぞこれは。
字で書くのはいいけど、どうやってこのシーンを実現するか考えなきゃ。

 

パッと見で、かなり大きな課題が3つあります。
1:ヒューゴがこっちに向かって走ってくる
2:カメラが廊下の反対側に振られる
3:カメラ、廊下の奥を見る

1については言わずもがな、キャラクター本体をアニメーションで動かさなければなりません。

2・3については、画角の問題です。
「カメラが動く」ということは、背景の見える範囲が変わるということ。一人称視点のこのゲームでは、カメラ=先生の視界です。
このシーンは「先生が体験している臨場感」が肝なので、カット一連がしっかり繋がっている必要があります。

最初のカットの絵と……
(実は後ろ向きのキャラクターの絵、かなり珍しい)

横を向いた時の絵……

そして振り向いた時の絵。

これらの画角を自然に繋げるには、どうしたらいいのか。

先生が「横を見る」ためには一体どうしたらいいんだ!?
画面の前の皆さんも一緒にお考え下さい。
一体どうやって解決したんだ……!?

正解はこちら。

 

 

 

こたえ:
メチャクチャでかい背景を使う

赤・黄・青の枠が各画面の大きさの目安です。
ふだん背景に使用している画像のサイズ(↑この画像でいう四角の枠ひとつぶん)が1920*1080pxという大きさなのに対し、今回必要な画像サイズは……驚きの5440*3000px!! でかーーーい!!

同じ表現を3章の接続時(シノの精神世界)、4章の玄関(ヤマムラ兄弟のシーン)でも行っているのですが、この応用です。
背景の絵をスライドさせれば先生が首を振ったことになるわけですね。

言うのは簡単だけども……それにしたって視点がすごい動く! 移動距離が大きい!

こ、こんな巨大な背景、どうやって用意するんだ……!
こんな複雑な仕様のうえにFORMATの繊細なアミアミまである超でかい絵を、一体どうやって……!

 

 

 

こたえ:
小田ハルカさんに描いてもらう

 

 

(↑こちらは制作中画像)

(↑完成版)

 

そう、過去にご紹介したこの背景アート、実はめっっっちゃくちゃ巨大な画の一部だったのである。

小田さん、本っっっ当にありがとうございます。足を向けて寝られません。

 

 

背景の問題が解決したら、あとはキャラクターを入れ込んで動かすのみ。
ご覧ください! ちゃんと先生の視点が動いてるよ!!
こうして無事に第5章を締めくくる印象的なシーンが完成したのでした。

 

 

無事じゃなさそうな人もいるけど……