不定期更新、『MINDHACK』楽曲紹介のコーナー! こちらの記事では、『MINDHACK』の楽曲制作をご担当いただいているトラックメイカー・小鉄昇一郎さんに、本作に収録された楽曲の紹介と解説をしていただいています。この記事を読めば、『MINDHACK』の音楽の世界がもっと分かるかも!?
サウンドトラックはこちらで販売中です。
ということで今回解説するのは、こちらの楽曲!
今週の1曲:PEOPLE CHANGE
・VODKAdemo?より
開発中のMINDHACKには、「すべての音が停止し完全にBGMがなくなる」という演出のシーンがありました。そこを、無音ではなく環境音のようなもので演出したいと考えて発注したのがこちらの楽曲になります。恐ろしいことが実際に起きてしまった後、誰にもどうしようもなくて残された人々が物思いにふける……それくらいシリアスなトーンでお願いします! と小鉄さんに依頼しました。物静かな楽曲ではありますが、『PEOPLE CHANGE』という曲名も含めてMINDHACKでは極めて重要な場面で流れる一曲です。ぜひ心にとめて聴いてみてください。
・小鉄さんより
“「演出上、無音」の時の環境音、もしくはシリアスな雰囲気のしんみりした曲”というテーマで作った曲です。物思いに耽っている時の、喜怒哀楽のあいまいな、決して明るくなく……という感じですが、これはあまり作った時のことを覚えてない!まるでこの曲そのもののようにぼんやりとした記憶の彼方で途方に暮れるばかり。何か書かないと。ということで、今、たまたま読んでた本ですがアンジェラ・アッカーマン&ベッカ・パグリッシ『トラウマ類語辞典』これを紹介して記事を埋めたいと思います。
「類語辞典」シリーズは、シナリオライターや俳優向けの本で、フィクションのキャラクター・登場人物の心理に奥行きを持たせるべく、様々な感情や行動パターンを分類した本で『感情類語辞典』『性格類語辞典』などのバージョンがありますが、MINDHACK的に面白いのはこの『トラウマ』の巻じゃないでしょうか。「心の傷とは何か」「悪役の旅路」「キャラクターの心の傷をめぐるブレインストーミング」「行動を通じて心の傷を写し出す」などなど、序章の見出しを並べるだけでもMINDハカーの食指が動きませんか?
で、本編は「殺人を目撃する」「外見の損傷」「冤罪」「親が異常な人間だと気づく」「貧困地域で育つ」など、起こり得るトラウマをすべて項目化し、そのトラウマがキャラクターにどのような不安を抱かせるか?どのような行動を取らせるか?何がトラウマの引き金となるか?等々を、これまたパターン化して淡々とリストアップし、辞典としてまとめているのです。本の目的としては創作論というか、ストーリーを作る人のためのアイディア・発想術の本とは言え、MINDHACKに登場するキャラクターに当てはまりそうな項目を引いてパラパラッと眺めるだけでも、読み物として相当面白いんじゃないでしょうか。
小鉄さんの楽曲紹介は今回で一区切りとなります。今後のアップデートで追加されるトラックもぜひお楽しみに!