日: 2023年1月21日

VODKAdemo?メンバーが影響を受けた漫画

こんばんは。ほがらか笑顔とハジける勇気、『MINDHACK』開発チームことVODKAdemo?です。今回は久々に我々のことについて語る時間をいただければと思います。テーマは「自分が影響を受けた漫画について」。普段はゲームを作っている我々ですが、漫画メディアからも大いに影響を受けていたりいなかったり。三者三葉の熱弁にお付き合いいただければ幸いです。

*ササン三

Amazonも自分じゃ使えなかった中学生のころ、自分がオタクカルチャーに触れられる唯一のスポットが地元のブックオフでした。本屋では見つけられないサブカル本を漁る自分のもとに流れ着いてきたのが、『七人の武器屋1/7』という漫画です。

この作品には原作がありまして、『七人の武器屋』というライトノベルが先立って存在します。ファンタジー世界でひょんなことから武器屋のオーナーとなった少年少女が、様々なトラブルを乗り越えながらお店を経営していくというもの。漫画版の『七人の武器屋1/7』はスピンオフにあたり、7人の日常に起きた出来事の顛末を描いています。

この中に収録されたエピソードが「家庭科の刃」という話でした。主婦見習いの女の子が中古で包丁を買ったところ、実はその包丁は古から多くの血を屠ってきた魔剣「ヴォーパル」だったのだった!どうなる!というストーリーです。

このヴォーパル、喋るんですよ。魔剣らしく血に飢えて人を殺めようとするんですが、購入者の女の子には、どうしてもお料理にしか使ってもらえない。ムキー!という話。当時思春期真っ盛りだった自分は、このイケてすぎる無機物に首っ丈になってしまったのでした。

だってナイフが喋るんですよ。大いなる魔剣がゆるふわな女の子に振り回されるんですよ。愛おしすぎる!ヴォーパルが出てくる話100話くらい読みたい!でもそれは叶わぬ願いです。ヴォーパルはスピンオフの読み切り用キャラだから。一回ポッキリしか出てこないんです。原作だと例の女の子は「包丁を発射するクロスボウ」を武器として使うので、下手したらヴォーパルも発射されてどっかいっちゃった可能性がある。

そんなわけでこの話は若かりし日の思い出の一つとして胸にしまってあったんですが、最近になって気がついた。自分の創作物、ことごとくヴォーパルの影響受けてない?どれとは言いませんが、作った作品ことごとくどっかしらにヴォーパルの面影を感じさせる要素が入ってることに愕然としました(みんな読み返してみてね‼︎)。もはやトラウマになっちゃってんじゃん。続編読みたすぎて自分で作っちゃってんじゃん。

『七人の武器屋1/7』は著者の今野隼史さんによる美麗な絵も見所で、特にコマ割りはユニークでありつつ見やすく綺麗。今でも漫画を描くときは参考として作業机に置いてあり、そういう意味でも影響を受け続けている漫画です。

 

*ホでヴ

こんばんは!ホでヴです。漫画大好きです!
父親がジャンプっ子だったので、物心ついた時からジャンプを読んでました。私と弟の為にコロコロコミックを買ってきてくれていたので、それも読んで、とにかく少年漫画に触れまくっていました。自分でも(だいぶカオスな)漫画描いたりしていました。漫画楽しい!最高!!
自分が、キャラクターを一個人として見る部分はこの漫画読みまくりの経験からきていると思います。
いつの間にかそこにある絵じゃなくて、違う世界に生きる個人であると認識するようになりました。

そんな日本の漫画で育ってきた自分が、フランスの漫画(バンドデシネ(BD))と出会いました。それがMUTAFUKAZでした。
バッッチクソかっこいい絵!きったねえ汚部屋!!大量のゴキブリ!!!血飛沫!!!そんでなにより>>>主役が頭身低くて丸っこい<<<!!!!
う、うそでしょ……こういう漫画は決まって頭身の高い人間が主役じゃんか……それなのに、このかっこいい世界で堂々と主役張るのが等身低い黒丸の子……?側にいるのも同じくらい小さい燃えてる骸骨……????そんな……そんな奇跡がある……??
こんな殺伐とした血みどろの世界でも、自分の大好きなデザインのキャラクターが主人公でいい。その衝撃に、当時の自分は夢中になりました。
フランス語読めないけどフランスから漫画取り寄せて、2、3ヶ月ドキドキしながら届くの待って、今でも大事に大事に持っています。宝物です。

MUTAFUKAZは漫画はこっちに来てないんですけど、日本のSTADIO4℃が日本語で映画化もしているのでそちらを是非見て貰えればと思います。
出来、めちゃくちゃ良いです。大好きな漫画を大好きなスタジオが超作画で完璧に仕上げてくれた……??奇跡か?奇跡なのか??おお神よ……LAGOMの導きあれ…………
しいて言えば自分は原作大好きなので、アニメのアンジェリーノは表情がちょっと可愛すぎるかな。でもクオリティは神。神い~~ アニメ限定の「さあ来い、あほ。」って台詞がも~~~めっちゃくちゃかっけえええええええええええ!!!!!!とほほ~~~!!!!いえーい!!!!!!!
アイスクリーム売る車でカーアクションするシーンなんか「ハリウッド映画か??」みたいなクオリティだし、トレーラーハウスに籠って撃ち合いするシーンもクソかっこいい!!!銃の一発一発が重くて痺れる。とにかく最初から最後まで銃が最高なんすよ。はあ~~~凄い。

 

*紅狐

きつねです。実はふだん、あんまり漫画を読みません。
活字中毒者なので、おこづかいで娯楽を買う時「より文字が書いてある面積が多いやつ」を選ぶ幼少期を過ごしてきました。
同世代の子供たちがジャンプやマガジンを読んでいる頃、私は『NINTENDO DREAM』誌を愛読していました。主食は情報。好きなコーナーは裏技紹介とクリエイターへのインタビュー。

そんなあんまり漫画を読まない私が子供の頃に出会い、大人になった今もずっと影響を深く……根深く……あまりにも深く受け続けている漫画作品があります。それは……漫画の神様・手塚治虫の名作『火の鳥』!!
『火の鳥』は、時空を超越した不死の存在・火の鳥が、はるか古代から途方もない未来までを通して人類の歴史を眺め、彼らの時に愚かで、時に胸を打つ、どうしようもない生命の営みを見守り続ける……というお話です。
どの章も全部好きだけど、その中でもいっちばん心に突き刺さり続けているのが『未来編』と『復活編』。
文明の発達した近未来においての機械と人との危うく切り離しがたい関係や、「人間とは何なのか。自我とは、生命とは、魂とは何なのか」「善悪とは分かつことができる概念なのか」とか、そういう答えのないテーマが未だ私の心に深く刻み込まれ……それに対して人は……私という個人は一体何ができるのだろうかという問いを……ずっと……こねくりまわし続けている。

以前レイ・ブラッドベリの『火星年代記』が破壊衝動の根本であると書きましたが、ブラッドベリが育ての親としたら、手塚治虫はマイスイート破壊衝動の生みの親である。
そして大人になって作品だけではなくその作者の出自にも興味が向くようになったとき、ばらばらの全てのパズルピースがかっちりと当てはまるような経験をしました。
それは『未来編』に登場するあるキャラクターの名前が『ブラドベリイ』であることに気づいたとき。そして『宇宙編』の冒頭が、ブラッドベリの名短編『万華鏡』から影響を受けて描かれていることに気づいたとき。
ああ……世の中って……全部繋がってんだなあ……!!!! と震えました。

そんな私が『火の鳥』全編の中でも一番好きなシーンが『大量のロビタが群れをなし、ある場所へ向かう』ところです。(『重機のキララ』は『万華鏡に対する宇宙編』のようなことを自分もやりたくて書いた小説です)
最近そのシーンが一面に描かれているかわいいがま口を手に入れました。火の鳥のキャラクターのグッズってなかなかないので嬉しくて愛用しています。小銭を出すたびに「なんちゅう場面をがま口の柄にしとるんじゃ……」と思っています。ありがとうございます。

『火星年代記』と『火の鳥』はとにかく私の価値観の根本にある本なので、もちろんMINDHACKにもブラッドベリみ・火の鳥みが、無意識下のうちに出ているのではないでしょうか。そういう誰かの価値観に爪を立てるような作品を自分も書けたらいいなあと願っています。

 

いかがだったでしょうか。それぞれの漫画を読んでからVODKAdemo?作品をお楽しみいただくと、「ああ……(笑)」となること請け合いですので、おすすめです。今後もたま~に我々の熱いプレゼンにお付き合いいただければ幸いです。それではまた!