MINDHACK : COM_Zの大掃除

COM_Z
「シノちゃん! いつまで眠っているのかね!? ほら、起きた起きた!」

シノ
「……ぐ、ぎぃいッ……」

シノ
「かひゅっ……博士……貴様、またこの部屋に何か意味の分からんモノを仕舞い込んだな……!? ぜえ……不愉快だ……とっとと貴様ごと失せよ……!」

COM_Z
「あ。そうか、この部屋の容量が圧迫されるとシノちゃんが潰れてしまうのだったね。失敬失敬」

COM_Z
「でも……すまないね、シノちゃん。ワガハイにはどうしてあげることもできない。これは仕方のないことなのだよ。だって……なぜなら、今日は……

大 掃 除 だからねっ!」

 

シノ
「…………ハ? おえっ…………………煤払い(すすばらい)?」

COM_Z
「そうとも言うね! もう外の世界は年の暮れなのだ。この機に、仮想空間上にしまっていた不要なデータを削除してしまおうと思ってね。圧縮データを解凍していたのだよ。だからシノちゃん、もう少しの辛抱だ。ワガハイと一緒に、いるデータといらないデータの整理を手伝ってくれたまえ!」

シノ
「……また訳の分からぬことを……! この息苦しさが無くなるなら何でもいいわ、とっととせよ!」

COM_Z
「はい、じゃあまずデータ1個目〜」

 

COM_Z
「いらないかな?」

シノ
「いるだろう」

COM_Z
「え、なんで?」

シノ
「知らんのか。この手は捨てる部位などない魚ぞ。皮から肝から胃袋までまとめて鍋にでもせよ」

COM_Z
「シノちゃんがそう言うなら、とっておこうかあ」

 

COM_Z
「はい、次」

COM_Z
「いらないかな?」

シノ
「いるだろう」

COM_Z
「え、何で?」

シノ
「分からんのか? 敵に殺意を悟られぬようにするには何が必要か。愛嬌だ。小さくか弱きモノほど相手の驕りと油断を誘う。かようにかわゆきシロモノに榴弾でも忍ばせてみよ。たちまち仇敵は肉片と化すであろうよ」

COM_Z
「シノちゃんがそう言うなら、とっておこうかあ」

 

COM_Z
「はい、次」

COM_Z
「いらないかな?」

シノ
「いるだろう」

COM_Z
「え、何で?」

シノ
「自明であろ、この部屋に足りぬものが。高さだ。戦場において高所に陣取ることは圧倒的優位を意味する。このような木偶(でく)であれ、高台を確保できれば貴様の首を掻く程度には役に立つであろうよ」

COM_Z
「シノちゃんがそう言うなら、とっておこうかあ」

 

COM_Z
「はい、次」

シノ
「いらん」

COM_Z
ええッ!? なにゆえ!?

シノ
「どこぞの草葉の陰にでも捨て置け」

COM_Z
「今までの流れでいったら絶対必要なのだ! これは消さない消さない! むしろ増やしちゃうもんね!!」

 

COM_Z
って、待ちたまえ!!!!!

シノ
「ぐ、声を張るな……頭に響く……」

COM_Z
「シノちゃん! さっきから全然片付いてないのだ!! 全く、よもやシノちゃんが片付けられない症候群だったとは!」

シノ
「最後のはいらんって言ったのに」

COM_Z
「シノちゃんに任せてたらいつまで経っても片付けが終わらないのだ! 外部から直接フォルダをフォーマッ……じゃなくて初期化した方が早そうだね。じゃあシノちゃん、ワガハイはここで失礼するよ!」

シノ
「ハ? おい博士! この散らかりようを何とかしてから……!!」

 

 

シノ
「…………えっ?」