月: 2026年8月

MINDHACK : スプライトが12,000枚!?

(文責:サブシナリオ&広報担当スタッフ・ササン)

 

ある日のこと……。

MINDHACK開発チームのプログラム担当、紅狐は悩んでいた。

MINDHACK、容量デカくない??

 

2026年現在、開発中ビルドのサイズは10GBを突破。

分かりやすく比較すると一般的なDVDの容量が4.7GBなので、MINDHACKはDVD2枚分よりデカいのである。

それって映画2本分よりも容量がスゴイってこと?

ひょっとして何か、変なデータを取り込んでうっかり必要以上に容量を食っているのではないか?

心配になった紅狐はパブリッシャーのプログラマーさんに相談した。

 

紅狐
「どうでしょう? 何か変なデータが混じってませんか……?」

プログラマーさん
「……これは……!」

 

プログラマーさん
「妥当ですね……」

紅狐
「えっ……?」

 

プログラマーさん
「スプライトが12,000枚入ってるので……」

紅狐
「……12,000枚……?」

 

 

~祝・スプライト12,000枚突破記念~

MINDHACKのデカすぎる容量内訳を振り返る会

 

スプライトとはすなわち画像のこと。それが12,000枚。

皆様、疑問に思うのではないでしょうか。

MINDHACKのメインキャラクターは現在、7名(先生・FORMAT除く)。

単純計算で1キャラクターあたり1700枚以上の画像が使われていることになってしまいます。

立ち絵ってそんなにいっぱいあったっけ!?

 

もちろんそんなことはありません。

もう少しスプライトの内訳詳細を見ると、こうなります。

 

純粋な静止画素材 689枚(5.7%)
連番素材 11,393枚 (94.30%)

合計12,114枚

 

立ち絵のような止まった絵はほんの5%ちょい。

残りの95%は連番画像……つまり、アニメーションのコマ送りとして使っている画像が占めているわけですね。

MINDHACKといえばアニメーションが命!

このパーセンテージを見ていただいただけでも、本作が「めっちゃ絵が動く」ゲームであることを実感していただけるのではないでしょうか!?

 

さらにスプライトに含まれるのは立ち絵だけではありません。

更生対象ごとに用意されたハック中の背景なども含まれるので、単純に立ち絵や出番の多さが容量の大きさに直結しているわけではないんですね。

 

それではここで、MINDHACKキャラクターズのうち容量がデカいひとたちの詳細を見てみましょう。

おい!! お前ら!!
そこ並べ!!

今日はMINDHACKの容量を誰が一番食ってるかハッキリさせてやるからな!!

 

容量デカいひと第1位:ヒューゴ

記憶を見るシーン(精神世界)の背景差分が突出して多いキャラクター、ヒューゴ。

第五章の宇宙空間を彷彿とさせる演出は、皆様の印象にも残っているのではないでしょうか?

ウネウネ・ニョロニョロするアニメーションが多いので、1シーンに対する枚数も多くなりがち。

そのうえ第五章終盤で大暴れするため「めっちゃ動くキャラクター」の代表格です。

実は今回の集計にはムービーの容量が含まれていないため、真のデカさはまだ明らかになっていないという噂も……!?

とにかくデカいぜ!! ヒューゴパパ!!

 

容量デカいひと第2位:新米隊員(コマゴメ)

第一章から登場し続けている皆勤賞キャラクター・新米隊員。

長年の積み重ねに加えて表情も多彩なので、とにかく立ち絵が増えました。

MINDHACKの更生対象は現実世界と精神世界でカラーが異なるため立ち絵が倍になる……のですが、コマゴメは接続前と最中のカラー差分がないのに大量に絵があります。

第六章での繊細な心の動きを表現するため、とにかくアート担当スタッフが頑張りました。

ハック中の背景もアニメーションしているので、連番画像としても容量を圧迫しています。

 

容量デカいひと第3位:シノ

シノのデカさの一因は、専用背景。

ハック時に突入する奇妙な赤い部屋は静止画の一枚絵ですが、実はめちゃくちゃサイズがデカいのです!

先生が上下左右を見渡すアニメーションがあるので、パソコンの一般的なモニターサイズ(1920 × 1080)よりもかなり大きめに背景が描かれているんですね。

シノも現実世界のカラー差分がないひとですが、静止画立ち絵が31枚もあっていろいろな表情を見せてくれます。

ハック中の背景もずっと動きまくっており、容量イーターとなってしまいました。

 

 

以上トップ3名!

容量デカすぎ罪につき、ペラペラの刑に処します。

軽めの容量に思いを馳せてください。

~その他のキャラクターについて~

隊長

隊長は今でこそ立ち絵が増えたのですが初期はほとんど表情差分がなく、「通常」「胸に手を当てる」だけの2枚の静止画で全てをやりくりしていた時期が存在します。

顔がほぼ変わらないので、ちょっとした所作の違いだけでいろいろな感情を表現してくれていました。

初期のすきまトークとか見ると、その名残が少しあるかも……。

現在も立ち絵が増えたといいつつ「からあげを1つ1つ食っている」みたいな二度と流用できない素材がめっちゃ多い。

オープニングや第六章のムービー、すきまトーク専用の立ち絵も含めるとものすごく大量に差分がある。

レアな隊長の姿ばかり集めたマニアックな記事もあるので、見てね!

 

COM_Z

技術的な話をすると、COM_Zは実はほかのキャラクターとはちょっと扱いが違います。

顔面の液晶部分がいつでもアニメーションできるようになっているので、単純な静止画とは異なるつくりになっているんですね。

キャラクターも背景もアニメーション連番素材も多いのですが、コンピューターっぽくカクカクパキパキした動きが大半なので、動いてる感を演出しつつも容量的にはコスパがいい優等生だったりする。

 

ユーニッド

静止画素材がもっとも多いのはウニ(花ウニ含む)で、64枚もの立ち絵が存在します。

アップデートのたびにときどき立ち絵が追加されており、キングまで上り詰めました。

アート担当スタッフはまだまだ増やす気満々のようなので、今後に期待だ!

 

イーヴリッグ

「画面に登場している時間」に対して絵の枚数がやたら多いのはイーヴリッグとシノ。

それぞれ内訳の5%以上を占めています。

やかましいね、このひとたちは。

 

ミキちゃん

第四章の限られたシーンにだけ登場するミキちゃんですが、実は立ち絵が10枚もあります!

 

球体くん

このひとは3DCGなので、立ち絵としてカウントしていいものかどうか……?

第七章、これまでにないほど尖ったビジュアルの章になりそうです。こうご期待!

 

FORMAT

静止画が2枚ある。

 

 

今回はちょっぴりデータ的な面からMINDHACKというゲームを振り返ってみましたが、楽しんでいただけたでしょうか?

皆様にお届けするにあたっては可能な限り快適に遊んでいただけるように、容量はなるべくカットしたい……!

ということで、開発チーム一同見えない努力を日々重ねています。

そのへんはもっと専門的な話題になってしまうので、また別の機会に。

 

それはそれとして、MINDHACKでは今後ももっと! さらに! イキイキとキャラクターが動き出すゴージャスな演出を取り入れたいと考えております。

ちょっぴりデカめのゲームではありますが、ぜひ皆様のPCにおかれましてはMINDHACKのための「別腹」をご用意のうえ、お待ちいただけますと幸いです。

それでは!

MINDHACK : 第七章の楽曲

こんにちは! サブシナリオ・広報担当のササンです。今回は第七章の進捗をお届けします!

第七章はこれまで以上に過去と現在が交錯する複雑なエピソードとなります。そのためサウンド面でも物語を盛り上げる工夫を凝らしました。コンポーザーはもちろん、トラックメイカーの小鉄昇一郎さん!

 

 

このたび第七章で使用される新曲が到着したため、プレイヤーの皆さんにいち早くお届け! まずはこちらのトラック。

 

ぼんやりとした音で描かれる、遠い追憶のような音色。何だか、聞き覚えのあるフレーズが聞こえるような……?

実はこちらの楽曲は、MINDHACKのタイトル画面で聴くことのできるトラック『THE STAIRS』をアレンジした1曲なんです!

まさしく、物語の始まりを想起させる象徴的な音楽。一体、どのような場面で流れるのでしょうか……?


10年前、いったい何があったのか?今後の展開に注目です。


 

さらにもう一曲。

 

こちらは何を隠そう、第七章のメインキャラクターである「球体くん(仮)」のテーマ楽曲です!

 

球体くん近影。覚えてくれました?

 

曖昧な音色で描かれる景色は、どこか知らない国のホテルのラウンジのようでもあり、記憶の底に打ち捨てられたショッピングモールのようでもあり……。何だか、忘れかけていた思い出を撫で上げられてゾワゾワするような音使いが印象的ですね。

えっ? この曲でも聴き覚えのあるフレーズが混じっているって?

さてさて……一体どんな意味が込められているのか、どうぞお楽しみに!

 

音楽から広がる第七章の世界、少しでも味わっていただけましたか?

これらの楽曲は次回アップデートの際に公式サウンドトラックへ収録されるので、楽しみにしていてくださいね。

それでは!

 


 

と思ったんですが、意外と記事が短かったので雑談しますね。

夏真っ盛りのこのごろ、最近の開発チームはちょっと早めの休暇をとって里帰りしていました。

ある者は四国へ。新幹線で東京から岡山まで3時間かけて移動したのち、さらにマリンライナーという列車に乗って瀬戸大橋を渡り、瀬戸内海を越えます。

またある者は北海道へ。飛行機で行っちゃえば手っ取り早い……のですが、あえて新幹線とバスを駆使して陸路で目指すそうです。

私、ササンはこれから受け取るであろう各地のお土産に思いを馳せています。かくいう自分の実家は都内なので、いつでも帰れるがゆえに逆にどのタイミングで帰省するか悩ましく……。皆さんは夏休みや休暇で、ふるさとに帰りますか? それとも旅行? 家でまったり?

たまにはこういう話もいいでしょう。では、よい夏を~!

MINDHACK : ハックの日2026

先週の記事では、毎年8月9日に公開している「ハックの日」記念イラストを振り返りました。

そして今年。2026年からは新たな試みとして、外部のイラストレーターさんにスーツイラストをご制作いただいています。今年のイラストをご担当いただいたのは、クリエイターのこむぎさん! これまでにもセールイラストやグッズイラストをご制作いただき、MINDHACKを長らく支えてくださっている作家さんです。

そんなこむぎさんに描いていただいた今年のハックの日記念イラストがこちら!

か、カッコいい~~~~~~! どこかの階段で撮影された、CDのジャケットのようなスタイリッシュな1枚。キャラクターごとのポージングにも個性があって、MINDHACKらしさを活かしつつゲームでは見られない姿を表現していただきました。こむぎさん、素敵なイラストをありがとうございました!

 

2026年スーツデザイン資料

こむぎさんにご依頼する際、開発チームのスタッフ・ササンがデザインしたスーツのイラストを参考としてお渡ししました。ここでは、秘蔵資料を特別に一挙公開!

 

ユーニッド

画像内コメント:
「ネクタイにはたもちゃん型のピン、胸にはホタテ柄のハンカチが添えてあります
禁酒法時代のマフィアのイメージです」

補足情報:
ハットにピアス、シューズにいたるまで抜け目ないファッションを見せてくれるユーニッド。一番派手で、ギャングらしい衣装にしようと決めていました。地球でいえばシカゴにアジトがありそうな、危険な香りの漂う着こなしです。しかしオシャレにこだわりのあるユーニッドも、実はフォーマルウェアには慣れない様子。スーツの似合うあの人にアドバイスをもらいながら、スタイルを決めてくれたみたいですよ。

 

イーヴリッグ

画像内コメント:
「いわゆるリクルートスーツっぽい
『おしゃれで都会的なスーツが着たかったけど大学の入学式で着たやつしか持ち合わせがなかった』イメージ」

補足情報:
リクルートスーツとは、日本の学生が就職活動に合わせて身にまとう独特のスーツですね。イーヴリッグはスタイルがいいのでおしゃれをさせたくなるのですが、彼らしさを強調するならちょっと不器用さを強調したくもあり……。今年は「ゲーム内のイーヴリッグが本当にスーツを着るなら、どんなシチュエーションだろう?」と考えてデザインしました。

 


 

シノ

画像内コメント:
「ジャケットを羽織っています(?)」

補足情報:
私は一頭身のキャラクターが頭からスーツジャケットを羽織っている姿が本当に好きなのですが、一向に自分のイラスト以外で同じシチュエーションを見つけられていません。なぜですか? ジェスターハットみたいなシルエットで可愛くないですか……? ということで、本編での残忍さをあえてまったく失ったキュートな着こなしをしてもらいました。何気に目の色もゲームとは違う銀色です。

 

COM_Z

画像内コメント:
「燕尾服を着ています
胸にはタンポポのコサージュをつけています」

補足情報:
「COM_Zは絶対に燕尾服と蝶ネクタイ!!」と決めていました。カワイイロボットにふさわしいドレッシーなスタイルですね。実は毎年迷っていたのが、COM_Zのボトムスファッション。両脚が特殊な構造なので過去のイラストではボトムスを履いていないデザインになっていました。今年は思い切って、ファッションに合わせて下半身パーツを取り替えてみることに。結果としてこれまで以上にファッショナブルになってくれました!

 


 

 

新米隊員

画像内コメント:
「細身の黒スーツに細い黒ネクタイ」

補足情報:
新米隊員は若手としてのフレッシュさを大切にしたいと考え、毎年モダンなスーツにしています。今年のファッションも、スーツの歴史から見るとかなり現代的なスタイル。映画をきっかけに流行した細身の仕立てが特徴的です。描き方によっては「日本の喪服」っぽく見えてしまう難しいファッションではあるのですが……こむぎさんのイラストでは、見事にカッコよく着こなしてくれました!

 

隊長

画像内コメント:
(なし)

補足情報:
画像の中にコメントがありませんが、これはブログ掲載用に修正したもの。こむぎさんにお渡しした実際の資料には、思いっきり「とある映画」をモデルにしたことが書かれています……(笑)例の、「高級テイラーの英国紳士が実は凄腕スパイだった !」というアレですね。ササンの独断でモチーフにチョイスしました。こむぎさんのイラストではさらにアタッシュケースが追加され、言い逃れができない仕上がりになっています!


 

ヒューゴ

画像内コメント:
「フロックコートを着ています」

補足情報:
ヒューゴはもとの宇宙服の上からスーツを着ているというトンデモファッション。そのため、大柄なシルエットでも格好良く決まるスーツスタイルを模索しました。モデルになったのは、20世紀のアメリカの大統領です。恰幅のいい体型に合わせた風格ある着こなしがとても素敵で、参考にさせてもらいました。こむぎさんのイラストではさらにお腹のたっぷり感がUP! 思わず抱きつきたくなってしまうお父さんですね。

 


 

MINDHACKキャラクターズそれぞれのスーツスタイル、楽しんでいただけましたか?

来年のハックの日ではどんなイラストが飛び出してくるのか、ぜひ楽しみにしていてくださいね! それでは。

MINDHACK : ハックの日振り返り

君は「ハックの日」を知っているか!?

こんにちは。サブシナリオ・広報担当のササンです。

MINDHACKはひそかに毎年、8月9日をハックの日としてお祝いしています。

日本語で「8と9」が「Hack」の語呂合わせになるためですね。

公式Xでは例年、テーマに沿ったイラストを投稿してきました。

ここでは、過去のイラストを振り返ってみましょう!

 

2022年

「ハックの日」をお祝いするテーマで初めて描かれたイラストです。そもそもの発端としては、「いつもは先生を支える側や対峙する側にいるキャラクターたちに、先生のコスプレをしてもらおう!」というアイデアがありました。

よく見るとみんな特徴的な白手袋をしていますね。くわえてスーツも着ています(MINDHACKの主人公である先生はよ~く見るとスーツを着ているんです! ハック時アニメーションの袖口にご注目)。全員お揃いのスーツでもよかったのですが、せっかくなので少しずつ個性をつけました。この試みが以降のデザインへと繋がります。

オマケ情報として、このころのササンは「ゲーム内で使われている無彩色以外をイラストに使わない」という縛りで絵を描いていました。本編と異なる色を使うと世界観を壊してしまうのではないか……と心配していたんですね。しかし、徐々に新しい色を使うことに挑戦するようになり、その変化が翌年に表れることとなります。

 

2023年

前年とは打って変わってカラフルなイラストに。2022年にトライした「キャラクターごとの個性を表したスーツを着せる」というテーマをブラッシュアップしました。結果的にハックの日は「みんなで先生のコスプレをする日」から「キャラクターに好き放題スーツを着させてもいい日」として進化を遂げることに。

この年からさらにスーツに関する勉強を深め、時代や役割の異なるさまざまな仕立てを描くようになりました。お気に入りはちょっと昭和っぽい着こなしのユーニッドです。ピアスも自前で毎年いろいろ用意してくれてるみたいですよ。

 

2024年

さらにグラフィカルな方向に進化したデザイン。ちょうどこのころ主線のないカッコいい映画ポスターを見ていたので、同じ方向を目指して制作しました。みんな特殊組織のエージェントのようなクールな仕上がりに! しかし同時に、シルエット部分の多い表現になったのでスーツの細かい部分を描きこめなかったのが少し心残りでもありました。その欲求不満が翌年、思わぬ結果に……?

 

2025年

この年はまさかのバックショット。一切キャラクターの顔が見えないイラストなんて、プロモーションとしてアリなのか!? という迷いがなくもなかったのですが、当時はどうしても「いろいろな種類のサスペンダーやホルスターを描きこみたいんだい!!」という気持ちが高ぶっていたので攻めた構図にしてみました。まあ……MINDHACKのキャラクターって、正面向いてても顔見えない人が多いしね!

 


 

さて、さまざまな試みをしてきたハックの日の記念イラスト。

もちろん明日、2026年8月9日にも新作イラストが投稿されます!

果たしてキャラクターたちは、どんな装いを見せてくれるのか……?

今年からは新たな試みにもチャレンジしているという噂。

ぜひ公式Xをフォローして、明日の投稿をご期待くださいね! それでは。

MINDHACK : 英語へのローカライズ③

帰ってきた! MINDHACK英語翻訳とっておき解説コーナー!

MINDHACKは現在、日本語・英語・韓国語・簡体中文・繁体中文 に対応しています。

そのうちの1つ、英語翻訳を手がけてくださっているのが、日英翻訳者・岩﨑 真木子さん。

2021年に超・初期の体験版をローカライズしていただいて以来、足掛け5年もMINDHACKの英語テキストをお任せさせていただいている方です。

作品の世界観やテキストの意図、ユーモアまで丁寧に拾い上げてくださるお仕事のクオリティに開発チームはいつも助けられています。

以前のブログでは第一章の英語版テキストについて、岩﨑さんに解説していただきました(第1回 / 第2回)。

今回のブログでは、続編として第二章の英語テキストについて新たな解説をいただきました!

ぜひ、日本語とはまた違った表情を見せるゲームの世界にご注目ください。

それでは岩﨑さん、お願いいたします!

 


 

【今回の翻訳に際して、工夫した点やお気に入りの点について】

イーヴリッグの登場/Meeting Ivrig

ヤマムラ
「バターナイフよ」
「人は見た目ではない。
神は物体の本質を見ておられる。
しかしその刃は……」
「いささか、
なまくらのようだ」

Yamamura
“Greetings…
Butter Knife.”
“Just as God sees the true essence of
all objects, I do not judge a book
by its cover. Your blade, however…”
“It appears to be…
A bit dull.”

MINDHACKにおいて新たなキャラクターが初めて主人公に呼びかける時の台詞は特に力を入れて翻訳していますが、第2章でもこちらの台詞だけでイーヴリッグのことがいくつもわかる台詞になるように、原文の印象を取り逃さず訳そうとしました。

英訳の初稿では「Butter knife.」と呼びかけるだけだったのですが、「バターナイフが先生を眺めた上で出てきた悪口とわかりやすくしたい」とご相談を頂いたので、いっそ挨拶をしてもらいました。といっても、挨拶の中でもまるで強大なヴィランが出す風格のような尊大さをもって「Greetings…」という言葉を選びました(あとは細かいですが「Butter knife」ではなく「Butter Knife」とすることで固有名詞・名称として読まれることを狙いました)。なんだこいつ!?という驚きと次に何を言ってくれるのかというワクワク感が英訳として伝わっていたら嬉しいです。

また、私は翻訳をする際には口に出して語感を確かめることも多いのですが、この台詞は口に出すとかなり「イーヴリッグっぽさ」が出ていると思います。テーマ曲のタイトルにもなっていてお気に入りの箇所です。

When translating MINDHACK, I try to take my time with lines of a character being introduced for the first time, just to make it as perfect as I can. That goes for Case 02 as well; I wanted to make sure that nothing was left out from what Ivrig’s original Japanese lines were portraying about him as a character.

In my first draft, Ivrig’s first line was him merely stating “Butter knife.” However, I was asked by the VODKAdemo? team if I could make it clearer that the butter knife in question was a derogatory jab upon seeing Doctor. With that in mind, I decided to have Ivrig greet the doctor instead, choosing “Greetings…” to have him speak with the pompousness of a powerful villain. Another small detail about this line is that I opted to capitalize the knife in “Butter Knife” as well, to make it seem more like a title. If you were excited to see what he would say next while also wondering what the hell was wrong with this guy, then I did my job right.

Another thing I can say about this line is that it’s a very Ivrig-like line to say out loud. (I can say this because I say the lines I translate aloud when I check them.) It’s one of my favorite lines in this chapter, especially since it’s also the title of Ivrig’s theme song.

 

魔王/The FATAL ERROR

MINDHACKにとっては重要な用語の一つである「魔王」ですが、英語で直訳しようとするともちろん「Demon Lord」「Demon King」のようになります。ただしこれらは言葉としては正しい直訳ですが、「魔族」の「主君」であることを(原文での意味合いに対して)強調しすぎているためここでは適切ではないと感じました。

そうやって他の路線でしたらこういうのやこれらはどうでしょう~…とご相談したところ、ニュアンスとしては「最上級の破滅」「世界の滅亡」という意味合いのものであると教えていただき、そこからまた案をいくつか考えました。大きく分けて「概念系」と「プログラム・ゲーム系」で案を出しましたが、以下にいくつかをピックアップします:

概念系:(The) Darkness(闇)、The End(終焉)、(The) Undoing(破滅・解き・ゼロに戻る)、など
プログラム・ゲーム系:Fatal Error(致命的なエラー)、(The) Meltdown(暴落・ハードウェアの脆弱性)、System Failure(システムの故障)、Game Over

これらの中でVODKAdemo?のみなさんに選んでもらったものが「Fatal Error」をBUG表記に合わせて大文字にした「FATAL ERROR」でした。天災・現象という側面が強く出ていて、「魔王」に相応しくカッコイイ名称になったと思います。また、これは個人的な好きポイントとですが「Fatal」という単語自体は恐ろしいながらに少しロマンチックな響きもあって(破滅という言葉に少し運命性があるように)良い単語ですよね。

An important term in the MINDHACK world is, of course, “FATAL ERROR”. The original Japanese term for this was “魔王(Ma-ou)”, which literally translates to something like “Demon Lord” or “Demon King”. I’m sure a lot of people have seen this term in manga or anime, especially ones with fantasy or RPG-style themes, because this term usually refers to a literal demon overlord, the final boss in an RPG, or in the case of some games like Dragon Quest, both.

When trying to tackle this word, I was pretty sure from the start that this was not referring to the usual meaning. Upon asking the VODKAdemo? team, they confirmed that this was not a literal demon lord, but more like a concept: the utmost form of destruction, the end of the world. With that information, I suggested a number of terms like the ones below, roughly categorized into terms about concepts and programs/games.

Concepts: (The) Darkness, The End, (The) Undoing
Program/game-related: Fatal Error, (The) Meltdown, System Failure, Game Over

“Fatal Error” was the one chosen, and capitalized into “FATAL ERROR” to match another important term in the game, “BUG”. I think it brings out the apocalyptic and inhuman tones that was intended in the original term, while also sounding as cool as “魔王”. I also like how the word “fatal” has a sort of romantic sound to it within its obviously ominous meaning, like how “the end of the world” has something fateful to it.

 

イーヴリッグの口調の変化/Changes in Ivrig’s way of speaking

イーヴリッグの見せるさまざまな側面は第2章において特に大きな魅力だと思いました。翻訳者としてキャラクターの解釈を自ら語ることはかなり恐縮なのですが、英訳の際に意識したポイントとそれが顕著な例をいくつかピックアップしようと思います。

One of the things I like most in Case 02 is the different sides of Ivrig you see. It makes me deeply nervous to publicly write about how I perceive a character as a translator, but I’ll try my best to explain what I aimed for at each stage.

①ハック前/Pre-Hack:

ヤマムラ
「かりそめの、形だけの刃。
こまごました箸やナイフやフォークに
紛れてしまいそうな、華奢な姿……」

Yamamura
“An ephemeral, superficial blade.
Its delicate shape blends in with
intricate chopsticks, knives, forks…”

ハック前のイーヴリッグについて、口調のベースとしては「上品さ」を意識し、I willをI shall、I don’tをI do notという風にフォーマルな表現を優先して短縮形を使わず、第1章のユーニッドとは打って変わってcurse/swear word(下品な罵倒)を極力使わないようにしました。ただしこの上品さは演出されているものであることも表現したかったので、そのためには英語でもあまり日常使いをしないような難しい言葉――語彙力を誇示するために習得したかのような語彙――を多用してもらいました。上記の例では「ephemeral」ですね。全体的に、ハック前のイーヴリッグは「自分を演出するように一つひとつの言葉を意識的に選んで話しているというイメージで翻訳しました。

Pre-hack Ivrig speaks in a dignified manner, accentuated with his usage of “I shall” instead of “I will” and “I do not” instead of “I don’t”. He speaks without contractions, and unlike Unid in Case 01, doesn’t swear. But something I wanted to portray is that this manner of speaking is something constructed—performative, even. That’s why I tried to have Ivrig use difficult vocabulary (like “ephemeral” in the example above). Overall, I translated pre-hack Ivrig with the image that he speaks very intentionally, choosing each word to portray a certain image of himself.

 

②ハック途中/While hacking:

ヤマムラ
「黙れ!!!!!
N『ン』ではない!!!
M『ム』だ!!!!!!!!!」
「M『ム』……
なんだけど……
………」
「………
な、なんだっけ………
あれ……?」

Yamamura
“Silence!!!!!
IT IS NOT ‘N’!!!
IT IS ‘M’!!!!!!!”
“It’s ‘M’…
But……
……”
“Wh-what was it…
Huh…?”

ハック中のイーヴリッグは全体的に「強気と弱気の間を揺れ動くというイメージで翻訳しました。上記の例でもそうですが、二つの状態のギャップがとても魅力的だと思ったため、英語でもそれが顕著に伝わるよう強く意識していました。記憶を見るシーンもそうですが、原文では弱気の時のイーヴリッグは「あの」「えっと」などの間を繋ぐための言葉が印象的だったので、英語でもOh, uh, umなどフィラーを多用し、他にも語彙自体は難易度を落としつつも文法が極端に単純になるわけではなく、一般的な若者が使うだろうという口語になるように訳しました。

When translating Ivrig’s lines during his hack, I aimed to show how he fluctuates between when he’s pompous and when he’s timid, like in the example above. I really liked the contrast between these two sides of Ivrig, so I tried my best to portray that in the English translation as well. You can also see these moments in his memories, like how Ivrig uses a lot of filler words when he’s timid in the original Japanese (like “あの/ano” and “えっと/e-tto”). That’s why Ivrig often stutters and says filler words like oh, uh, um in the English version as well. I also had Ivrig use easier vocabulary and speak more like an average 20-year-old.

 

③ハック直後/Post-hack:

ヤマムラ
「大丈夫……大
丈夫です……大丈
夫……大丈夫……大丈夫……」

Yamamura
“I am fine… I a
m fine… I am fi
ne… I am fine… Fine…”

 

ハック直後もまた異なる一面を見せるイーヴリッグだと思います。初稿では英訳は単語の途中ではなく「am」と「fine」の間で改行をしていたのですが、強烈な違和感を持ってもらうようにあえて単語の途中で区切る表現を提案していただき、素敵な案だと思ったので採用させていただきました。これによって「取り返しのつかないほど壊れてしまったというようなイメージが明確になったと思います。

Post-hack Ivrig shows another distinct side of Ivrig. In the original draft for the line above, the English translation separated each line between words. VODKAdemo? suggested to break each word and separate each line in the middle of a word instead, to visually show just how broken Ivrig was. I thought it was a wonderful idea, and so this line came to be.

 

唐揚げ弁当の例え

隊長
「唐揚げ弁当の唐揚げを
全て焼き鮭に乗せ換えてしまったら、
それはもう、鮭弁だ」

Captain
“If you replace the chicken in
chicken over rice with fish,
that’s fish over rice now.”

ハック後に先生と隊長が会話をする際の台詞です。かなり鮮明に残っているほどこの台詞についてかなり悩んだ記憶があります。2026年現在では英語圏の人にbentoと言うと伝わる可能性って実は結構あると思うんですが、MINDHACKの世界観の中において「Japanese bento boxがある」という事と「弁当がある」という事は意味合いが異なってくるように思います。しかし隊長の立ち絵は明らかに弁当を持っているから(我々の現実世界における日本の)お弁当として認識してもらっても問題はないと言えば問題はないし、カルチャライズするとしても見た目からあまり離れた訳は使えないし……。という風に様々なことを悩みました。

最終的には丁度良いところ取りをしようとした結果「chicken over rice」となりました。もちろん直訳としては「ご飯の上の鶏肉」ですが、これはそういう料理の名称です。さらには地域によっては昼ごはんとして屋台で買い、箱型の紙パックに詰められることもあり、「唐揚げ弁当」に似た役割で英語圏の人にとってもう少し親しみやすい言葉として訳すことができたのならば嬉しいです。少なくとも、そのシーンでの比喩がスッと頭に入りやすくなっていれば嬉しいです……。

ちなみにVODKAdemo?のみなさんとは度々こういった日本文化特有の用語(多くは食べ物関連の言葉)についてどれをどれほどカルチャライズして、どれをそのままにしておくかをご相談させていただいています。

This line is said during a conversation that Captain and the doctor have. I remember how much I fretted over this line. In the big 2026, more English-speaking people than ever understand what “bento” means on its own—however, is it not a different thing for the captain, a character existing in the MINDHACK universe, to have “a Japanese bento box” as opposed to them bringing “a lunchbox”? But the in-game sprite clearly shows her holding a very Japanese-looking bento box, so it may be okay for players to recognize that for what it is, a Japanese kara-age (which is also technically not the same concept as just fried chicken) bento box, instead of localizing/culturalizing it into a non-Japanese lunch—and even if I were to change its meaning upon translation, I shouldn’t stray so far from the captain’s sprite… As you can probably see, I had a lot of thoughts about this.

In the end, I tried to get the best of all worlds by translating it as “chicken over rice”, staying close to the ingredients in a kara-age bento, while also potentially evoking in some players the lunchbox aspect, as halal carts in some areas serve chicken over rice in boxes (although you could possibly say this is simply trading one cultural reference for another instead of being a more universal reference). I always worry over these lines, but I really hope it at least provided an easier understanding of the analogy in this scene.

I also want to note that the VODKAdemo? team and I have had many conversations about when it’s appropriate to localize an inherently Japanese concept (usually food-related), and when it’s better to leave it as is.

 

ヤマムラの資料8/Yamamura File 8

“高鳴った僕のハートで
今こそ円舞曲を奏でよう
ほら……聞こえるかい?”
“100本のバラを捧げるよ
君という慈しみの翼が
僕の胸へ舞い降りる日に”

“Let my beating heart
play a waltz for you
Listen… Can you hear it?”
“100 roses for you
On the day that you, merciful wings,
shall fly your way to my heart”

何か特別な工夫があったというよりは単純に翻訳がとても楽しかった箇所です。プレイヤーの皆様の中でもこの資料がお気に入りの方は多いのではないでしょうか?私はかなり好きです。

I don’t exactly have anything remarkable to note about translating these lines, but it was one of the most fun ones to translate. I really love this poem, as I assume many MINDHACK lovers do as well!

 


 

岩﨑さんからのコメント、楽しんでいただけたでしょうか?

今後も第三章以降の解説を不定期に更新していくのでお楽しみに。

それではまた!